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人間国宝 黒田辰秋 木漆工芸200点

生誕120年を大回顧 豊田市美術館で開催中  2025.4.25

200点が展示される会場の一部。手前の机には黒田作品の代表的な文様「彫花文」が施されている。

 
 豊田市美術館でいま、展覧会「生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋 木と漆との旅」が開催されている。期間は5月18日まで。主催は同美術館と京都国立近代美術館。
 
 この展覧会は、戦前から戦後にかけて高い造形力と様々な技法を駆使して多彩な作品を発表し続けた木漆工芸家、黒田辰秋(1904〜1982年)の大回顧展。交友のあった河井寬次郎、黒澤明、武者小路実篤らの愛蔵品のほか、家具などの大作から掌で愛でる逸品まで約200点を通じて黒田の作品世界を紹介している。生誕120年を記念して初期から晩年まで多彩な作品が並んでおり、素材へのこだわりや木工と漆工の技、緻密で繊細なつくりに惹きつけられる。
 
 黒田は京都出身。父親が営むの職人仕事に親しんで育ったが、分業だった当時の漆工芸の制作体制に疑問を持ち、素地作りから加飾まで一貫して制作する独自のスタイルを確立した。1970年には木工芸の分野で初めて重要無形文化財保持者「人間国宝」に認定されている。
 
 会場入口の正面に展示されたの火鉢と円盤は、夏には円卓としても使えるという。作品の美しさもさることながら、このように日常の暮らしのなかで使えるように作ってあるのも特徴だ。また黒田作品の代表的な文様「」をほどこした長椅子をはじめ、高い技量と造形力を強く感じる色鮮やかな螺鈿の茶器や箱なども展示されている。
 
 孫の黒田佐織さんは記者説明会で、「祖父は木や自然を尊敬している人だと幼いころから思っていました」「それが作品にも表れていると思います」と話していた。
 
 観覧料は一般1200円、高校・大学生1000円、中学生以下無料。月曜休館。明日26日の14時からは京都国立近代美術館主任研究員の大長智広さんによる解説もある。問合せは豊田市美術館(☎34・6610)へ。【地域記者 大岩容子】