杉本寛文市議(66)が決断
衆院選 自民愛知11区 八木哲也さん後継 2025.4.18

勝てない選挙区 自民に逆風の中で…
昨年の衆議院選挙で敗れた「自民党愛知第11選挙区支部」=豊田市・みよし市=が先月公募していた選挙区支部長に、豊田市議会議員の杉本市議(66)=自民クラブ3期・竜神地区=が手をあげ、八木哲也さんの後継者となる決断をした。この原稿を書いている15日時点では党本部の審査まで進んでいないようだが、順当に進めば近日中に公認発表されるはずだ。
今回の公募は先月10日〜16日に行われたもの。愛知11区は自民党がどうしても労働組合に勝てない選挙区であり、しかも自民党に逆風が吹いている真っ只中。有力な応募者は居ないかもしれないと考えられていた。杉本市議の決断はかなり勇気のいる行動だ。
杉本市議を決断させた理由は3つ考えられる。
1つ目は豊田市議会議員ならではの危機感だ。豊田市がこの4月にスタートさせた第9次総合計画を滞りなく進めていくには、国の事業や補助金を引っ張ってくることが欠かせず、そのためには政権与党の国会議員が必要だという思いが自民党市議には強い。
2つ目は、市議会最大会派である自民クラブとしてのプライドだ。今回の公募に地元の応募者が居なかった場合、他の地域から落下傘候補を招いて擁立する可能性が出てくる。それは自民クラブとして恥ずかしく、また地元の自民党組織の衰退につながるという思いが自民系市議には強い。
3つ目は、国とのパイプを開拓してきた八木哲也さんの姿を見ていた後輩市議としての思いだ。八木さんは13年前の豊田市議時代(当時65歳・4期)、今回と同様に愛知11区の衆院選候補者を公募して決まらなかった時に、責任をとって自ら出馬を決断。小選挙区では連敗しつつも、しぶとく比例復活当選を続けて国とのパイプを築いてきた。杉本議員は当時の八木さんとほぼ同じ66歳。偉大な先輩と同じ決断をしても不思議ではない。
とは言うものの、前述のように愛知11区はどうしても自民が労組に勝てない選挙区。しかも自民に逆風で比例復活当選も危ない。杉本市議の決断は相当な覚悟だったはずだ。
次の衆院選は早ければ今年7月、遅ければ3年半後の任期満了時だ。
杉本寛文さんは竹村小・竜神中・刈谷高校卒。明治大学農学部を卒業後、実業団サッカーの選手(GK)となった。その後は地元でブドウ農家を営み、同22年からは豊田市消防団の団長を務めた。現在、豊田市サッカー協会会長も務める。【新見克也】
あいあいマルシェ
上郷 柳川瀬公園で初開催 2025.4.18

子どもたちは真剣な表情で顕微鏡を覗き、うろこの表面の様子を熱心に観察していた。
ちょうど桜が満開となった先月29・30日と今月5・6日の週末に、豊田市上郷地区の柳川瀬公園芝生広場で「あいあいまるしぇ桜まつり」が開催され、キッチンカーやワークショップを多くの親子連れや地元住民が楽しみ、賑わった。
豊田市を拠点に活動する「あいあいまるしぇ」の桜まつりは、2021年から豊田市民文化会館東側の枝下緑道公園で開催してきたが、枝下用水の改修工事に伴って今年から使えなくなった。主催者の山田真理さん(38)が次の桜まつり会場をどこにしようかと考えていた時に、偶然、市スポーツ振興課から市内の都市公園をマルシェに活用してほしい旨の相談があったそうだ。
現場を見に行ったところ、使いやすさと雰囲気の良さで柳川瀬公園に会場を決め、同公園を指定管理する「かみごうスポーツクラブ」の岡田廣美代表(76)からも、「マルシェ開催は初めてですが、ぜひやってみましょう」と快く受け入れてもらえたという。
柳川瀬公園の広々とした芝生広場には、親子連れが楽しめる遊具やバーベキュー場もあり、ピクニックや散歩を楽しみながらマルシェを楽しめるとお客からも好評で、お昼どきにはキッチンカーに行列もできていた。また、会場の雰囲気がマルシェ出店者からも好評だったそうだ。スポーツクラブの岡田代表も、「このようなマルシェがあると公園も地元も賑わい活気づきます。ぜひ継続してくれれば」と嬉しそうだった。
マルシェ主催の山田さんは、「出店者の声を聞きながら、また桜まつりを継続できたら」と話してくれた。 【有我 都】
レンコン掘り放題
休耕田を活用 里山の景観保全にも 2025.4.11

枯れた茎をたどって泥の中を探すと、次々とレンコンが見つかるので楽しい♪
珍しいレンコン堀り体験のイベントが先月22日に豊田市旭地区の加塩町で開催され、市内外や遠くは四日市市から家族連れなど80名が参加した。会場は水を抜いたレンコン畑(田んぼ)。枯れた茎をたどって泥の中にあるレンコンを探しながら、子どもも一緒にスコップで掘って楽しんだ。また素揚げにしたレンコンチップやきんぴらの振る舞いも味わった。
この体験イベントを企画したのは豊田市内でカレーハウスCoCo壱番屋を店舗展開している㈱ワイズの社員、今村元洋さん。旭地区の地域住民と連携したハラペーニョの栽培や特産品開発のプロジェクトに携わっている担当者だ。
会場となったレンコン畑「わいわいファーム」は、今村さんらが空き家バンクを通して活動拠点として借りている古民家の近くにある。地元住民が休耕田活用のために数年前からレンコン栽培を始め、出荷するには大きさの不揃いなレンコンが掘り切れないほどたくさん収穫できることから、今村さんがインスタグラムなどで収穫体験イベントを告知して始めた。今回で5回目の開催だ。大人1千円、小学生以下無料で掘り放題とあって年々参加者が増えており、今後はレンコン畑を増やす計画もある。担い手の高齢化問題の解消や、里山の景観保全にもつながる取組になってきた。
レンコン以外にも年間を通して様々な収穫体験を企画し発信している今村さん。「まちから訪れてくれる人たちに旭地区のことを知っていただけるきっかけにもなれたらという想いで開催しています」と話してくれた。
春日井市から参加した宮道孝尚さんは、「思ったよりたくさん掘れました。自然の中で家族そろって泥んこになって、おおいに楽しみました」と笑顔だった。 【地域記者 戸田育代】
魚のうろこを見てみたよ♪
豊田市博物館で理科講座 2025.4.11

子どもたちは真剣な表情で顕微鏡を覗き、うろこの表面の様子を熱心に観察していた。
〝魚のうろこを顕微鏡で観察して年齢を調べてみよう〟という理科講座が先月22日に豊田市博物館で開催された。1日4回の講座に親子連れを中心に96名が参加し、顕微鏡の世界を体験した。
同博物館では子どもが様々なことに興味を持つきっかけづくりや探求心を育てる理科講座を月2回開催しており、どれも大人気。今回の講座は、開催中だった「和食展」に合わせ、魚の体のしくみを知ってもらおうと開いた関連企画だった。
用意された魚はマダイ、ニシン、深海魚トウジンの3種。まず学芸員の鶴田博嗣さんがうろこの役割や、うろこ表面のについて説明した。
魚は暖かい季節には体がよく成長し、寒い季節には成長が鈍るため、その成長差がうろこ表面に輪紋となって表れ、年輪として魚の年齢を数えることができる。この仕組みは木の年輪も同じだ。
子どもたちは食い入るように説明を聞いた後、ピンセットで魚体から1枚うろこを剥がして顕微鏡で年輪の様子を観察。水温が一定なため年輪が出来づらいという深海魚トウジンのうろこ観察にも挑戦し、魚種の違いによるうろこの特徴を楽しんでいた。
最後は気に入ったうろこをラミネート標本に。鶴田さんは「魚屋さんでうろこのついた魚を買ってきて観察すると色々なことがわかりますよ」と伝えていた。 【有我 都】
100年の歴史に幕
大正14年に開園 足助まゆみこども園 2025.4.4

式典後には園庭で菓子まきも行われた。
大正14年に開園し県内で最も古い幼稚園だった「豊田市立足助まゆみこども園(旧足助幼稚園)」が3月31日をもって閉園し、100年の歴史に幕を閉じた。29日には足助自治区の主催で閉園式が催され、最後の3日間は写真アルバムの展示会も。多くの卒園生たちが思い出を心に刻んだ。
足助には5つのこども園があるが、出生数の減少で大きな影響を受けている。なかでも最も早く園児数が減少したのが足助まゆみこども園だ。足助の中心街にあるものの、旧幼稚園制度の園だったため保育時間が短く、また送迎駐車場の狭さもあって2年前に入園児がゼロに。在園児も足助もみじこども園へ移って休園していた。
閉園式には歴代園長7人が招かれ、地域内外から卒園生も集まって会場のホールは満員。園の歴史をスライドショーで振り返って式典に入った。
閉園に至った経緯を説明した地元の鈴木章市議は昭和45年の卒園生。同じく卒園生である市保育課の畔柳隆二課長から閉園決定を告げられた時のことを「卒園生が卒園生に閉園を言い渡すのはとても辛いことだったと思います」と振り返った。また「今日は心にいつまでも残る閉園式になりますように」と語り、式典を準備した実行委員会に感謝の言葉を贈った。
太田稔彦市長は、旭地区で平成24年に閉園した小学校の校舎が拠点施設つくラッセルとして活用されていることに触れ、「この園舎をどう活かすかご提案いただきたい」と呼びかけた。当面は子どもの居場所・遊び場として開放される
藤岡地区のこども園(昭和36年開設)も2年間の休園を経て3月末で閉園。29日には御作町自治区主催の閉園セレモニーが開かれ、懐かしい写真の展示も行われた。 【新見克也】
捩(もじ)り織り30点展示
みよし市文化財 石川家住宅で 2025.4.4

捩り織りの一種「織り」の織物。繊細な織物なため機械化するのは難しく、手織りでしか制作できないという。
経(たて)糸をよじりながら緯(よこ)糸を入れる「捩り織り」の織物の展示会が来週末13日(日)まで、みよし市指定文化財の石川家住宅で開かれている。展示されている作品は捩り織りの一種「羅(ら)織り」を中心に約30点。入場無料だ。
この展示会を主催しているのは豊田市内で活動する市民グループ「染織ころも」の8人。竜神地区の公益財団法人あすてで2004年〜2013年に開かれていた子ども向け体験教室「ものづくりなぜなぜプロジェクト」の一環で、草木染などのボランティアをしていた人たちだ。プロジェクト終了後も織りと染めの楽しさを伝えようとグループを立ち上げ、交流館や寺部町の遊佐家などで作品展を開いてきた。
羅織りは2100年以上前に中国から伝わって奈良・平安時代に盛んに織られ、正倉院にも所蔵されているという。室町時代の応仁の乱によって技術が途絶えたが、昭和の時代に西陣織の染織家・喜多川平朗(ひらろう)氏と北村武資(たけし)氏によって復元された。着物の帯やストールなどに使われるが、繊細な織物なため機械化は難しく、今も制作は手織りのみだ。染織ころも代表の金田(かなだ)幸代さんは「失敗して糸を戻すことが多く、1日に数センチしか織り進められませんが、それが楽しさでもあります」と話す。
今回みよし市指定文化財の石川家住宅で展示するのは初の試み。広間に差し込む太陽の光が薄いレースのような羅織りに透けて味わいがあるため、ぜひここで開催したいと思ったそうだ。
石川家住宅はみよし市三好町上82。開館は水曜・木曜・土曜・日曜の10時〜16時半。問合せは☎0561・32・3711へ。 【八木 愛】
愛知県新体育館の完成祝う
豊田木遣り保存連合会 2025.3.28

先週22日に行われた3保存会の合同練習の様子。豊栄町一区の区民会館グラウンドで。
豊田市博物館の開館式への出演をきっかけに、市内3保存会で昨年4月に結成した「豊田り保存連合会」が、今度は、明日29日に行われる愛知県新体育館「愛知国際アリーナ(IGアリーナ)」の完成引渡式で、祝いの木遣り唄を披露する。残念ながら引渡式は一般公開されないが、オープニングで木遣り唄3曲を披露する予定だ。
木遣り唄は鎌倉時代の前期に京都の建仁寺が建立された際、臨済宗の開祖・栄西上人が始めたと言われる。重い木材や石を運ぶときに息を合わせる作業唄だったものが、いつしか地鎮祭や竣工式などで披露される祝い唄となり、日本の伝統文化とされてきた。
豊田市内でもかつては各地域で行われていたが、戦後にその多くは途絶えてしまったという。連合会を構成する3保存会はいずれも平成の頃に復活したものだ。
「前林木遣り保存会」は平成15年に復活。地元神明社の秋祭りなどで木遣り唄を披露している。会員は70〜80代の8名。後継者の育成が課題だ。
「堤町木遣り保存会」は平成20年に地元神社の改築を機に復活。会員は60〜90代の17名だ。メンバーの一人は、「昔は個人の家が建つときにも木遣りが出て、それを聞いていたから節回しを憶えていたよ」と懐かしそうに話してくれた。
「豊栄町一区木遣り保存会」は最も新しく平成31年に復活。30〜90代の23名で活動している。
連合会は木遣り唄の伝承や地域活動の活性化に寄与しようと発足したもので、元県議の片桐清高さん(豊栄町)が顧問を務めて外交面から盛り立てている。 【新見克也】
トヨタ車体の森林ボランティア
タカドヤ湿地で地元とコラボ 2025.3.28

安全な伐倒の手順をじっくりと話し合うトヨタ車体の森林ボランティア。安全のためロープや滑車も使っていた。
紅葉スポットとして知られる豊田市稲武地区のタカドヤ湿地では、地元の「タカドヤ高原湿地を守る会」の保全活動に、都市企業2社の社員がボランティア協力している。刈谷市に本社を置くトヨタ車体㈱と、安城市の建設会社㈱ナルセコーポレーションだ。
都市企業が山村地域で社会貢献活動をするとき一般的には人手の提供が多いが、トヨタ車体はひと味違う。森林整備について学んだ〝森林ボランティア〟の知識と技術で協力しているのだ。
同社が社会貢献で森づくりに関わり始めたのは2006年。矢作川水系森林ボランティア協議会(矢森協)への支援からだった。2012年には社員参加型の森林整備活動をスタート。グループ企業にも声をかけて三河湖近くの県有林を「企業の森」と位置づけ、伐倒作業の安全管理や森づくりの理論を矢森協に指導してもらった。さらに2019年には社内の公認サークル「森人」が発足し、本格的な森林ボランティア活動も展開している。
タカドヤ湿地の整備では危険な大木の伐倒をトヨタ車体が担っている。森林ボランティアの活動は効率を追わず、安全な手順を守るのがルール。安全意識に格差のある合同作業では特に、一つの油断が大事故につながるため、じれったいほどの安全重視が丁度良いのだと感じた。
ここでのトヨタ車体の活動は3年が過ぎて一区切りだが、地元は今後も協力して欲しいと願っている。社内で調整して、来シーズン(秋〜春)も継続支援することになりそうだ。 【新見克也】
稲武郷土資料館 3月末閉館
博物館に集約し次世代へ 2025.3.21

稲武郷土資料館の展示の様子。暮らしや生業の様々な道具が列んでいる。
豊田市黒田町の「稲武郷土資料館」が今月末をもって閉館する。豊田市博物館に集約するためで、鑑賞できるのは30日(日)までだ。
稲武郷土資料館は、明治維新から100年を機に稲武町民に呼びかけて寄贈された約3000点を所蔵。展示の特色は、獣類・鳥類の剥製や昆虫などの自然標本が多く、また飯田街道(中馬街道)沿いの町とあって中馬(荷馬輸送)の道具も充実している。戦時中の物や民具、地区の人形浄瑠璃のや衣装(県指定文化財)も間近で鑑賞できる。人形浄瑠璃は愛知県内では珍しく、信州との往来で伊那谷文化の影響を色濃く受けたことが伺える。
旧小田木小学校の校舎を利用して開館したのは昭和61年。平成15年に関谷酒造の吟醸工房に隣接する現在の場所にリニューアルオープンした。来館者は累計9万人を超えている。入館無料。9時〜17時。月曜休館だ。
藤岡飯野町の「藤岡民俗資料館」も今月30日を最後に閉館となる。同館は旧藤岡中学校の特別教室棟を利用して昭和56年に開館。地域の先人たちの暮らしぶりを学ぶことができる。
すでに足助資料館と旭郷土資料館は昨年度末に閉館しており、今回の稲武と藤岡の閉館により、旧町村地域にあった資料館は小原地区の歌舞伎伝承館を除いてすべて幕を閉じる。なお、両館の展示資料は主に豊田市博物館に収蔵され、一部は地域住民の目に触れることの多い地元交流館の一角などを利用して展示を継続していく。
豊田市博物館学芸員の名和奈美さんは、「民具にはその地域の特徴が出ています。少し昔の道具に目を向けると、その地域での環境や使っていた人たちの暮らし向きがわかる面白さがあります。今後は博物館に集約するからこそ出来る展示で次世代へつなげていきたいです」と話していた。 【地域記者 奥田清美】
豊かな自然の中で子育てを
旭支所が空き家見学ツアー 2025.3.21

豊田市内外から12組20名が参加し、古民家から比較的新しいものまで4物件を見て回った。
豊田市役所の旭支所が空き家見学ツアーを先月22日に開催し、市内外から12組20名が参加して4つの物件を見て回った。旭地区に移住して暮らしている人や地域の定住委員たちも参加して、移住の経緯や現在の暮らし、地域の特徴などについて質問に答えながら交流する時間もあった。また支所職員からは、空き家情報バンク制度や利用できる補助制度について説明があったほか、買い物や病院、働く場などに関する事前質問への回答もあった。
今回のツアーで見て回った物件は、築122年の古民家から平成11年に建てられた比較的新しい物件まで様々で、参加者は建物内や周辺を見ながら暮らしのイメージを膨らませていた。また、物件のある地域によって地域行事や区費などが異なるため、自治区長や町内会長が詳しく紹介し、参加者からの質問にも応じていた。
5歳の子どもを連れて夫婦で参加した増田さんは、「建築の仕事に携わるなかで、自然の循環からかけ離れてしまった建物が多いことに疑問を感じるようになり、自然に還る素材でつくられた古民家に魅力を感じています。生活も子育ても自然が身近にあるところでしたいと思って探しています」と話していた。
【地域記者 戸田育代】
多様な市民活動を教育に活かせない?
地域学校共働本部に地域コーディネーター集う 2025.3.14

ゲストトークには今後の活動のヒントが盛り込まれており、参加者たちは熱心に耳を傾けた。
豊田市内の小・中学校に置かれている「地域学校共働本部」で地域と学校をつなぐ役割を果たしている地域コーディネーターの交流会が8日、とよた市民活動センターで開催され12名が参加して交流を深めた。同センター主催で地域コーディネーターの交流会が開かれるのは初めて。校長や教頭、市や県の教育委員会からの参加もあった。
とよた市民活動センターがこの交流会を開催したのは、市民活動や地域人材の多様な存在を地域コーディネーターに知ってもらい、地域の教育資源として積極的に学校で活用してもらいたいという想いから。また、地域コーディネーター同士の横のつながりを広げてもらいたいという想いもある。
ゲストトークでは保見ケ丘地域で活動する一般社団法人代表理事の吉村さんが、「こどもと一緒に創造するまちづくり」のテーマで西保見小学校との連携などについて話し、学校と市民活動団体の連携による創造の価値を伝えた。
また、前山小学校の地域コーディネーター栗本美幸さんは、地域からの要望を学校へつないだ事例を話し、地域と学校がつながるための工夫や、連携する時に大切にしていること、感謝の気持ちを忘れないことなどを伝えた。
交流座談会では地域コーディネーター活動のなかで上手くいっていることや困っていること、やってみたいことなどを発表し合い、子ども会やPTA活動が解散・縮小するなど地域のつながりが希薄化するなか「地域や子どもについて知ることが大切」「意図的につなぐことが必要」などの意見が出ていた。
最後に栗本さんは、「今日のような学び合いや対話が地域コーディネーターの次への活動につながります。とてもいい機会でした」と、次の開催に期待を込めて話をまとめた。 【有我 都】
シカによる森林被害深刻化
森女子達が市民調査 2025.3.14

人間環境大学の江口則和准教授が講師となり、女性たちが現地調査を行った。
近年深刻化している〝シカによる森林被害〟を市民の手で調査しようという豊田市内初の試みが今月1日、足助地区の町をフィールドにして開催された。
これは昨年10月に市内在住の有志で活動を始めた「女子よ森へ行こう!」プロジェクトの3回目の企画で、農作業や登山をしたとき獣害を目の当たりにして関心を持った人などが申込み、15名の定員にキャンセル待ちが出るほどの人気だった。
シカによる森林被害は林業への影響だけでなく、生息密度が高い場所では森林の下層植生がほとんど食べられて無くなり、それが原因で土壌の流出による公益的機能の低下も引き起こしている。
参加者たちはまず、北小田町にある猟師カフェのオーナー清水潤子さんの案内で自然観察しながら散策。シカの好物であるササやアオキの食跡、足跡や獣道などから里山の現状を学んだ。また山村地域の大きな課題である田畑の獣害についても、現場で説明を受けながら学んでいた。
その後、人間環境大学環境科学部(岡崎市)の江口則和准教授が講師となり、シカによる森林被害の講義が行われた。江口准教授はシカやイノシシなどの個体数調査や森林保全を専門に研究しており、最新のデータを交えて楽しく紹介した。
シカ肉カレーの昼食を食べたあと、いよいよ森林被害の調査へ。この日のために江口准教授が考案した、誰でも簡単に調査できるチェックシートが用意されていた。
山に入るとまず10m四方の枠を設定し、その枠内で獣道やフン、樹皮ぎなどの7項目を観察。点数化して合計点から被害状況を「微・弱・中・強・激」の5段階で判定した。3チームに分かれて判断した結果は、2チームが「強」で、1チームは「激」。シカによる森林被害が深刻だと実感できた。高橋地区の市木町から参加した木本夏子さんは、「とても面白かったです。森林や獣害が身近な人もそうでない人も、子どもでも一緒に楽しめそうだと感じました」と話していた。
この企画をサポートしたとよた森林学校理事の山本薫久さんは、「調査で数値化すると森林被害の現状を多くの人が共有できるようになります。かつて市民調査の『森の健康診断』が大きく花開いたように、誰もが楽しみながら本格的なシカの調査ができそうだという希望を感じました」と話していた。今後の市民調査の広がりと被害対策へのつながりに期待したい。 【地域記者 戸田育代】
製作は猿投農林高の生徒
豊田小原 大平町に新ランドマーク庭園 2025.3.7

ランドマークの庭園を製作した猿投農林高校の生徒たちと小原観光景観発展会の伊藤大悟代表。
豊田市小原地区町の岐阜県境に近い土岐足助線沿いに先月23日、小原の新たなランドマーク庭園の第2号「大平憩いの杜」の完成お披露目が行われた。
この取組は、小原の観光や景観をアップデートして地域を盛り上げていこうと30代〜40代の若者たちで一昨年発足した「小原観光景観発展会」が始めたプロジェクト。四季桜や紅葉があふれる小原らしい景観を新たに創出し、四季桜シーズン以外にも賑わいをつくって地域経済の活性化にもつなげていこうと、産官学の連携で活動を展開している。
おもしろいのは、ランドマーク庭園の製作を、県立猿投農林高校の環境デザイン科で庭園や公園のデザイン・造成を学んでいる生徒たちに託していることだ。市のわくわく事業補助金も活用しており、昨年の第1号は同地区東郷町の県道沿いに設置された。
今回のランドマーク庭園第2号は、広さが15m×7mほど。造成は生徒たちが中心になって行い、地域づくり団体「チャレンジ大平」も協力した。ソーラーパネル付きの照明で夜にはライトアップされており、またチャレンジ大平が昔のトロミル水車を復元した場所に隣接しているので、地域の名所になりそうだ。
なお今回のランドマーク第2号は3年生の田井中さんが設計したもので、その設計図は2月に行われた第51回全国造園デザインコンクールの高校生の部でみごと日本一に選ばれている。
咲さんは豊田スタジアムの芝生を管理するグラウンドキーパー田井中修さんの次女。お父さんの影響で子どもの頃から緑に触れる機会が多く、咲さんも緑をつくる仕事をしたくて猿投農林高校に入ったそうだ。 【新見克也】
昭和〜平成を熱唱
とよたロマンチック歌謡祭 2025.3.7

主催者のひとり大橋鋭誌さんはフレディ・マーキュリーに扮して盛り上げていた。写真はプロカメラマンの永田ゆかさんが提供。
昭和〜平成の歌謡曲なら誰でもステージで歌えるカラオケ大会「とよたロマンチック歌謡祭」が先月8日、豊田市駅近くのライブハウスを貸し切って初開催された。約120人が訪れ、60人以上が熱唱して楽しんだ。
主催したのは旭地区で農家民宿ちんちゃん亭を営む鈴木啓佑・桂子さん夫妻と、末野原地区で大橋園芸を営む大橋鋭志さん。大橋さんが市内のイベントに協力して盛り上げている姿を見た桂子さんが、「一緒にやりたい」と熱望し、協力者も次々と加わって実現した。
この催しは1曲500円でステージに上がり、さらに課金制でミラーボールやスモーク、ギター伴奏、ハモリ、バックダンサーなどの演出を追加できるユニークなシステム。ギター伴奏は消防ロッカーズの松石ゲルさんが務めた。
主催の3人もノリノリで、桂子さんは80年代ファッション、啓佑さんは全身黒タイツ姿、大橋さんは歌手フレディ・マーキュリーに扮してステージを盛り上げ、会場全体が仲間になっていく雰囲気の素敵なイベントだった。
鈴木夫妻は桂子さんのガン闘病経験をきっかけに、「明日の命の保証はないのだからやりたいことはどんどん実現していこう」と考えている。今回の歌謡祭は名古屋にあるライブハウスのカラオケ大会をヒントに、豊田の仲間たちと思い切りふざけて楽しみたいと企画したそうだ。
次回は7月5日に開催予定。問合せは鈴木さん(メールtinchantei@gmail.com)へ。 【八木 愛】
福よせ雛で日本昔ばなし
4月3日まで「いなぶ旧暦のひなまつり」 2025.2.28

「かさじぞう」や「わらしべ長者」等々の昔話の名場面を福よせ雛で表現している。
豊田市稲武地区の「いなぶ旧暦のひな祭り」が今月1日からどんぐり工房で始まった。先週末22日からは稲武交流館や飯田街道沿いでも行われており、福よせや、吊るし雛など合計約1000体の雛人形が飾られている。期間は4月3日まで。
福よせ雛とは、家庭で役目を終えた雛人形を譲り受け、新たに役立てていこうという全国規模のプロジェクト。社会文化をつなぎ、日本の観光振興の一助にもなることを目的に全国30カ所以上で行われている取組だ。どんぐり工房も同プロジェクトの一員になっており、今年は「福よせ村劇場〜日本昔ばなし〜」をテーマに、躍動的でコミカルな演出を工夫して雛人形たちに息吹を吹き込んだ。
半田市から毎年福よせ雛を見に来るという竹内秀樹さん夫妻は、「初めて見た時はびっくりしましたが、ストーリーがあって面白いので毎年楽しみにしています。作る人たちの熱量もすごく感じます」と話してくれた。
飾り付けをしたのは工房スタッフを含む8名。それぞれが得意分野を活かし、背景を描いたり、小道具を作ったり、人形が話しているように吹き出しを作ったりと楽しい演出を工夫している。
いなぶ観光協会の瀧澤美智子さんは、「一番大変なのはテーマを決めることです。子どもからお年寄りまでが楽しんでもらえるテーマは何かと一年前から構想を練っています」と話してくれた。また飾り付けを担当した西尾真理さんも「お雛様たちの第二の人生を楽しんでもらえるように気持ちを込めて飾っています。クスッと笑ってもらえると嬉しいです」と多くの人たちの来場を心待ちにしている。
なお今年は来場者が工房スタッフに教えてもらいながら小道具製作に参加できる試みも行っている。予約不要だ。問合せはどんぐり工房(☎0565・83・3838)へ。フォトスポットで写真を撮って応募するフォトラリーも同時開催している。 【地域記者 奥田清美】
VRで当事者の疑似体験も
豊田市福祉センターで認知症サポーター養成講座 2025.2.28

VRで認知症当事者の視点を疑似体験する受講者たち。意外にも10代の若者が多い。
認知症の正しい知識を持ち、当事者やその家族を温かく見守る応援者を増やそうと、先月25日、豊田市福祉センターで「認知症サポーター養成講座」が開催され、10代〜80代と幅広い年齢層の34名が参加した。主催は市福祉部の高齢福祉課。
この取組は2009年から全国的に始まったもので、約90分の講座を受けると認知症サポーターに認定される。市内ではすでに約4万2千人が認定されているそうだ。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んだり働きが悪くなったりしたために認知機能が低下した状態のこと。講座では「出来ないことではなく、出来ることに視点を置き、本人の選択を尊重する社会の中で希望を持って生きてもらう」という〝新しい認知症観〟の概念を解説した。
認知症当事者の体験談を聞く学びもあった。
60代の男性会社員は、徐々に記憶が抜けていく辛さや、出来ることと苦手なことを周りに伝えて必要な支援を受けながら仕事や生活をしていると語り、参加者は真剣に話に耳を傾けていた。
また認知症の症状が現れているお祖父さんと家族の物語をVR(バーチャルリアリティ)を使って当事者視点で疑似体験する学びも。家族に怒鳴られ冷たくされた場面では、実際に悲しい気持ちや心理的ストレスを感じることがもできた。
見た目だけでは理解や共感がされにくい認知症。地域社会で暮らすには本人を取り巻く周囲の理解やコミュニケーションが大切になる。初めて養成講座に参加した滝沢敏恵さん(19)は、「認知症になった人の感覚を知って本人が一番苦しんでいると解りました。尊重して支えることが大切だと思いました」と話してくれた。
認知症サポーター養成講座の問合せは豊田市高齢福祉課(☎0565・34・6984)へ。 【地域記者 庄司美穂】
美術館で恋活
閉館後に学芸員の解説付きで 2025.2.21

学芸員の解説を楽しみながら交流を深める参加者たち。
豊田市美術館で9日、若い男女の出会いの場を創出するための恋活イベント「アートマッチング─はじまりは美術館」が開催され、22〜39歳の独身の男女12人ずつが参加して交流を深めた。豊田市青少年センターが主催し、市、文化振興財団、美術館が共催した。
同センターでは20年ほど前から「男女の出会いのきっかけになれば」と〝婚活〟を意識したクリスマスパーティなどのイベントを開催してきた。最近では〝恋活〟と題し、様々なシチュエーションで趣味を同じくする人との出会いを楽しんでもらおうと取組んでいる。企画・運営を担うのは、出会いを希望する人が交流できる場を提供する団体「婚活実行委員会」。今年度は9名で運営し、秋には六所山の市総合野外センターでアウトドア交流会も行った。今回の恋活イベントは美術館からの提案で実現したという。
はじめの交流タイムでは一対一の自己紹介や、グループでのイラスト伝言ゲームなどを楽しみ、硬い表情だった参加者たちも、徐々に緊張がほぐれて盛り上がっていた。
夜の美術館では、開催していた企画展「しないでおく、こと。─芸術と生のアナキズム」を学芸員の解説付きで鑑賞。美術館によく来るという参加者も多く、学芸員の解説に熱心に耳を傾けつつ、参加者同士の会話も楽しんでいた。
鑑賞後には併設レストラン「ル・ミュゼ」でディナータイム。男性が席を移動していく方式でさらに多くの交流を生んでいた。その後、高橋節郎館も鑑賞し、最後には連絡先カードを記入してマッチングタイムも行った。
実行委員会のメンバーは「異性全員との一対一の自己紹介や席移動の回数を増やすなどして会話の時間を多くしました。初めて会う男女が楽しそうにおしゃべりするのを見て、お役に立てているのかなと思えて嬉しいです」と想いを話してくれた。 【有我 都】
養蚕の歴史と技術を伝えたい
「シルク時空(とき)をこえて」自主上映会 2025.2.21

前列中央の2人が、とよ衣の大林優子さんと、映画監督の熊谷友幸さん。
近代産業の〝養蚕・製糸〟を支えた人たちや、海外とのつながりの軌跡を伝えるドキュメンタリー映画「シルク時空をこえて」の上映会とトークショーが、豊田産業文化センター小ホールで8日に行われた。
この催しは小坂本町の多世代交流型子ども食堂「山二食堂」が主催し、小原地区で養蚕の継承・発信・商品開発に取組んでいる「とよたの里プロジェクト」=とよ衣=が運営を担って開催したもの。とよ衣は「養蚕・製糸の歴史や手仕事の温かさ、蚕の命を頂いて衣服をまとう尊さを伝えたい」との想いで活動しており、山二食堂代表の矢野泉さんら多くの人が賛同してこの映画会が実現した。矢野さんはかつて豊田の繊維産業をけん引した製糸工場「加茂蚕糸」創業者の孫だ。
養蚕の歴史や現状を多面的に捉えたこの映画は、撮影に5年、仕上げに丸1年かかったという。製糸業は明治から戦後にかけて女性たちに過酷な労働を強いたイメージが強いが、映画のなかでは女性たちが大切にされイキイキと働いていた様子を描いている。また、アメリカやフランス等との交易で日本の養蚕文化が尊ばれ、今も各国で遺産が保存されている様子も紹介している。
後半のトークショーにはこの映画を制作した映画監督の熊谷友幸さん、山二食堂の矢野さん、とよ衣代表の大林優子さんらが登壇。蚕の卵の撮影などの制作こぼれ話やカンヌ映画祭へ出品予定であることなどが話題になった。大林さんは「養蚕の歴史と技術を受け継いで、豊田が車と絹のまちになれば」と話していた。
会場には矢野さん宅で保管されていた絹織物の着物が多数展示され、どれも色鮮やかで当時の生糸の質の高さが伺えた。最も古いのは136年前のものだという。大林さんがその中の一枚を洋服やブーツと合わせて着こなし登場すると会場が華やいだ。 【八木 愛】
稲武中学校で福祉の授業
全盲の古家さんと盲導犬ビリーが講師 2025.2.14

アイマスクをして盲導犬ビリーと一緒に歩く体験もさせてもらった。
豊田市立稲武中学校で先週7日、全盲の千恵美さんと盲導犬ビリーを講師に招き、3年生14人が障がい者福祉について学ぶ社会科の授業が行われた。盲導犬寄付のボランティア活動を市内の学校に広めてきた教師の林宗弘さんが発案し、市社会福祉協議会ボランティアセンターの福祉実践教室を活用した授業だ。
授業の始まりが素敵で、生徒ひとり一人が事前に学び準備した点字の名刺を手渡して自己紹介。古家さんはじっくりと指で読み、誤字を教えながら点字の解説もしていた。
古家さんは視覚障がい者への接し方について、「私たちは触ることが見ることになるので、触れるものはどんどん触らせてほしいんです」とアドバイス。一緒に歩く時については「5段ぐらいの登りの階段があります」「1段下がります」のように具体的に教えてほしいと話していた。また、信号交差点では周囲の足音や車の音を聞いて渡る判断しているため危険であることを伝え、「声をかけてもらえると助かります」「盲導犬を連れていても完璧ではないので、積極的に声をかけてもらえると嬉しいです」と伝えていた。
アイマスクをして盲導犬ビリーと一緒に歩く体験をさせてもらった神谷光くんは、「簡単そうに思っていたけど、実際に体験してみると不安で怖かったです」と話してくれた。 【新見克也】
水素で炊いたご飯 どんな味?
日常生活での水素利用の可能性を体感 2025.2.14

水素の実用性を食で体感したファミリー。後方の屋外に見えるのが、トヨタ自動車とリンナイが共同開発した水素燃焼の釜戸「結炎(むすび)」だ。
食を通じて水素利用の可能性を体感するイベント「水素で炊いたご飯はどんな味?」が、今月2日に豊田市博物館のセミナールームで開催され、午前の部・午後の部を合わせて家族連れや夫婦など70名以上が参加して水素への興味関心を深めていた。
これは、豊田市が取組む「水素がわかる!大作戦」の一環で、博物館で先月スタートした特別展「和食〜日本の自然、人々の知恵〜」に合わせて開催したもの。炊飯にはトヨタ自動車㈱とリンナイ㈱が共同開発した水素燃焼の釜戸「結炎(むすび)」を使い、豚汁も水素コンロで作った。使用した米と野菜はもちろん豊田市産だ。
両社の担当者は、水素は使用しても二酸化炭素が出ないクリーンなエネルギーであることや、水素調理機の仕組みなどについて説明し、「日常生活のなかで水素の利用が当たり前になるといいですね」と伝えていた。
小学1年生の子ども連れで来た家族は、「娘と水素の利用やCO2削減について見識を深めようと参加しました。水素を実用的に使えるような未来があるんだなと楽しみになりました」と話してくれた。
会場には他にも燃料電池自動車MIRAIの展示や、楽しく水素について学べるクイズラリーもあり、参加者たちは様々な形で水素について理解を深めていた。
市未来都市推進課の担当者は、「座学だけでなく水素調理機で実際に調理をする様子を見てもらえ、食を通じて水素により興味関心を持ってもらえたと思います」と話していた。 【有我 都】
牛枠に続き蛇籠づくりに挑戦
矢作川の歴史を伝える枝下町遺跡調査隊 2025.2.7

豊田市町の地元有志グループ「枝下町遺跡調査隊」が、かつての河川土木用工作物「」を製作し、先月19日、約一年前に復元製作していた「」とともに河畔に展示設置した。地域内外の人たちへ矢作川の歴史を視覚的に伝えるシンボルになっている。
現在、枝下用水の取水口は昭和4年に完成した越戸ダムにあるが、明治時代に開削された当初の旧取水口は3㎞ほど上流の枝下町にあった。より多くの河川水を旧取水口へ導くための構造物として、矢作川の中島(現在のグリーンロード下の中州)周辺には幾つもの牛枠が設置されていた。それを固定するおもりとして用いられたのが今回製作した蛇籠だ。割った竹を粗く編んだ細長い筒状の籠に川石を詰めて使われ、大蛇の姿に似ていることからその名が付けられたとされる。
一年前の牛枠の復元に続いて蛇籠も製作しようと決めた遺跡調査隊は、昨年秋から計3日間かけて竹の伐り出しと加工を行ってきた。作業には完成をイメージする力と丈夫で長い竹を編みこむ体力も必要だった。編み方は動画を参考にしたほかミニチュアモデルを作成して研究を重ねたそうだ。知恵を出し合い役割分担しながら作業を進め、直径約45㎝・全長2・2mの蛇籠が完成。作業を通して先人の技に驚かされることもあり、地域の歴史を感じる機会となった。
牛枠と蛇籠が展示設置されているのは枝下用水資料室(枝下町岩里林488の1)の前。旧取水口の周辺を一望できる場所で、ダム湖に沈んだ枝下旧用水路の解説看板とともにいつでも見学できる。明治時代の遺構を見ながら河畔を散策し、先人たちの知恵や工夫、暮らしの力強さに思いを馳せてほしい。
【地域記者 吉田瑠那】
仮想空間を活用しよう
メタバースとよたで説明会 2025.2.7

豊田市の新しいナイトタイムコンテンツとして、(一社)ツーリズムとよたが先週末24・25日に豊田市博物館の外壁を活かしたプロジェクションマッピングを初開催し、2日間で約1300人が冬の夜を楽しんだ。
「豊田市らしい」「博物館にちなんだ」「創造性」の3テーマで制作された10分間の映像は48m×6・5m。博物館の建物上方の壁面に投影されると、観客からは歓声が上がった。豊田市の魅力をイメージする森林や紅葉、スタジアム、城、花火などのダイナミックな映像が午後5時45分〜7時30分のあいだ繰り返し上映され、フィナーレにはスカイランタンも夜空を彩った。
ツーリズムとよたでは、今回のプロジェクションマッピングに合わせ、市内4ヶ所の協力宿泊施設(プラザホテル豊田・ホテルトヨタキャッスル・ホテル松風・名鉄トヨタホテル)にお得に泊まれるプランも実施した。担当したツーリズムとよたの粕谷忠弘さんは、「冬の夜のイベントがなかなか無いなか、市内での宿泊や夜の賑わいを創出できればと企画しました。予想以上の来場があり市内消費にもつながりました。今後も場所を検討しながらプロジェクションマッピング等を企画し、宿泊や夜の飲食につなげていければ」と想いを話してくれた。 【有我 都】
5つの展示室に一つの巨大作品
豊田市美術館で若手作家 玉山拓郎展 2025.1.31

豊田市美術館の新しい展覧会「玉山拓郎:FLOOR」が18日から始まった。展示されているのは、2階〜3階の5つの展示室に貫入した彫刻とも建築ともつかない巨大な一つの作品だ。期間は5月18日まで。
玉山拓郎さんは34歳の若手作家。岐阜県多治見市の出身で、愛知県立芸術大学、東京藝術大学大学院で学び、現在は東京を拠点に活動している。絵画制作を出発点としながら、立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションを展開してきた。今回の作品にも光と音が組み合わされており、日の光によって刻々と表情が変わっていく展示室はその瞬間にしか見られない空間となる。絨毯で覆われた巨大な作品は、見上げる場所にあったり、壁のようにすぐ触れられる場所にあったり、さらに目の前や足元にあったりもする。
同展を企画したのは玉山さんを学生時代から知る豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴さん。同館を設計した建築家の谷口吉生氏をリスペクトとしつつ、挑戦を試みたという。若い玉山さんを抜擢し美術館の展示室という空間に巨大な作品を貫入させた発想に驚く。期間中の3月23日(日)14時からは玉山さんと美術評論家の中尾拓哉さんによる対談もある。
観覧料は一般1200円、高校・大学生1000円、中学生以下無料。月曜休館。問合せは美術館(☎0565・34・6610)へ。 【地域記者 大岩容子】
夜の博物館でプロジェクションマッピング
まちに賑わいを ツーリズムとよた 2025.1.31

豊田市の新しいナイトタイムコンテンツとして、(一社)ツーリズムとよたが先週末24・25日に豊田市博物館の外壁を活かしたプロジェクションマッピングを初開催し、2日間で約1300人が冬の夜を楽しんだ。
「豊田市らしい」「博物館にちなんだ」「創造性」の3テーマで制作された10分間の映像は48m×6・5m。博物館の建物上方の壁面に投影されると、観客からは歓声が上がった。豊田市の魅力をイメージする森林や紅葉、スタジアム、城、花火などのダイナミックな映像が午後5時45分〜7時30分のあいだ繰り返し上映され、フィナーレにはスカイランタンも夜空を彩った。
ツーリズムとよたでは、今回のプロジェクションマッピングに合わせ、市内4ヶ所の協力宿泊施設(プラザホテル豊田・ホテルトヨタキャッスル・ホテル松風・名鉄トヨタホテル)にお得に泊まれるプランも実施した。担当したツーリズムとよたの粕谷忠弘さんは、「冬の夜のイベントがなかなか無いなか、市内での宿泊や夜の賑わいを創出できればと企画しました。予想以上の来場があり市内消費にもつながりました。今後も場所を検討しながらプロジェクションマッピング等を企画し、宿泊や夜の飲食につなげていければ」と想いを話してくれた。 【有我 都】
いろいろな視点で和食再発見
豊田市博物館で「和食〜日本の自然、人々の知恵〜」 2025.1.24

学芸員の鶴田さんは「矢作川に生息する生きものも数多く展示していますよ」と話してくれた。
豊田市博物館で新しい特別展「和食〜日本の自然、人々の知恵〜」が始まった。世界中で関心の高まる和食を、バラエティ豊かな標本や資料とともに科学や歴史などの多角的な視点から紹介する展覧会だ。期間は4月6日(日)まで。開館は午前10時〜午後5時半。特別展料金は一般1900円、高校・大学生1400円、中学生以下無料。
本展は、国立科学博物館(東京)から始まり全国各地で開催される巡回展。2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界中で注目の高まる「和食」について、人々の知恵と工夫が生み出した調理技術や歴史的変遷を紹介する500点以上の標本・資料を通して、身近なようで意外と知られていないその魅力に迫っている。本展を監修した国立科学博物館の國府方吾郎博士は、「和食を普段とは違ったアプローチで見てもらうと面白い発見があり、和食が楽しくなります。和食全体と豊田市独自の地方性の見比べも楽しんでもらえれば」と見どころを話す。
「列島が育む食材」のコーナーでは、和食文化を育んだ日本列島の食材の多様性を体感でき、食の基本となる水や岩石からはじまり、キノコ、山菜、野菜、海藻、魚介類の展示を楽しめる。
野菜のコーナーでは渡来史や品種改良による多様性を紹介している。野菜のほとんどは外国が原産地で、白菜も幕末〜明治期に日本に入って来たという。日本に800品種もあるという大根は代表的な品種の模型がずらりと並んでいる。
日本人に欠かせない魚介類のコーナーには、マグロの実物大模型のほか、80種以上の魚介の実物標本や、天井の高さまである長さ16mの昆布の実物展示もあり、見応えたっぷりだ。
縄文時代から現代につながる〝おいしい歴史〟を巡る展示では、人々の知恵やおもてなしの心、海外との交流を通じて発展してきた和食の歴史を紐解いている。歴史上の偉人たちの食卓や天皇の献立を再現模型で紹介している他、江戸っ子が愛した寿司・天ぷら・そばやの屋台で江戸の町にタイムスリップできる。
学芸員の鶴田博嗣さんは「初めての自然科学系の展示です。科学と歴史の分野を横断して展示しているので色々な見方を楽しんでください」と話してくれた。
関連イベントとして2月15日には市民文化会館で料理研究家土井善晴氏の講演会も開かれる。 【有我 都】
中学生がポルトガル語通訳も
豊田市保見ヶ丘の4自治区が防災フェスタ 2025.1.24

避難所用の段ボール間仕切りや段ボールベッドの組立は小学4年生が担った。
豊田市立東保見小学校と保見ヶ丘4自治区の共催による「防災フェスタ」が先月8日、同校体育館で開かれた。小雨の降る寒い日だったが、地域住民や児童、保見中生、地域のボランティア団体など130名以上が参加。開会あいさつで小川敬子校長は、「災害のとき頼りになるのはご近所さんです。今日は頼りになるご近所さんを見つけてくださいね」と話した。開会式などのポルトガル語通訳はブラジル出身の中学生が率先して担っていた。
メイン会場の体育館では防災講座や災害時の口腔ケア指導、非常持ち出し品を詰める防災ボトル作りを行ったほか、4年生が避難所用の段ボール間仕切りや段ボールベッドの組立に取り組んだ。また中庭ではEV車の外部給電で湯を沸かしてコーヒーをいれたり、給水車から給水バッグに水を入れて背負ってみたりと様々な防災体験が行われ、北消防署保見出張所や、市役所健康づくり応援課、防災対策課、上下水道課などの職員が講師役を務めた。また自治区役員による豚汁のふるまいやビンゴ大会もあった。
保見ヶ丘は保見緑苑・保見ヶ丘六区・公団保見ヶ丘・県営保見の4自治区からなり、毎年合同の防災訓練を行っている。東保見小はこれまでも会場を提供してきたが、学校が地域の中で集まれる場所でありたいという思いから今回初めて主催側に加わった。
保見ヶ丘にはブラジルをはじめとする多国籍世帯との地域共生という課題だけでなく、多くのニュータウンと同様に団地全体の高齢化や独居老人の増加、コロナ禍による住民同士の関係性の希薄化など多様な課題があり、4自治区は様々な取組を行っている。防災フェスタの実行委員長を務めた保見緑苑自治区長の杉野秋吉さんは、「今年は子どもたちが加わって賑やかでした。今後は外国の人たちにも楽しんで参加してもらい、小学校が避難所になることだけでも知ってくれたら嬉しいですね」と話していた。 【八木 愛】
豊田市名誉市民 山内一生氏を偲ぶ会
名鉄ホテル大広間いっぱいの550人 2025.1.17

名鉄トヨタホテルの大広間がいっぱい。550人が一生氏を忍んだ。
昨年10月に95歳で亡くなった小原和紙工芸作家で豊田市名誉市民の故・山内一生氏を偲ぶ会が、14日に名鉄トヨタホテルの大広間で執り行われ、会場いっぱいの550人が集まった。主催は豊田市と市議会。
小原和紙工芸は、戦況悪化で小原村に疎開してきた工芸家の藤井達吉翁が技術を伝え、厳しい指導と苦労に耐えた若者たちが礎を築いてきた。山内一生氏もその一人で、昭和22年、18歳のころ達吉翁に師事して紙すきを始めた。
昭和28年には日展で初入選。同40年には日展特選を受賞して和紙工芸作家としての地位を不動のものにした。同55年には小原村の教育委員長に就任して教育発展にも尽力している。
昭和58年には皇太子殿下と妃殿下(現在の上皇・上皇后)を工房に迎えて和紙すきの技法を紹介。小原和紙工芸発展のために外交も担った。
平成9年には日展で最高位の内閣総理大臣賞を受賞。同12年に小原名誉村民となった。市町村合併後、豊田市名誉市民の称号を受けたのは米寿を迎えた平成30年のこと。多くの人との出会いやご縁があって今の自分があると感謝の念を口にし、晩年「いま思う一番の願いは、この和紙工芸が孫やその子どもに引き継がれ50年も100年も続いていくことです」と語っていたという。
偲ぶ会では、主催者を代表して太田稔彦市長と羽根田利明議長が一生氏の功績を語り、参列者代表のお別れの言葉は大村秀章県知事が語った。
個人を偲ぶ映像が上映されたあと、一生氏の孫で和紙工芸の弟子でもある山内章平氏が遺族を代表して次のように謝辞を述べた。
「祖父は『人の一生は誰について教わるか、誰と出会い、良い友だちになれるかで大きく左右される』と申していました」「祖父は芸術家としての基礎を藤井達吉先生に叩き込んでいただき、その出会いを皮切りに数多くのご友人の皆様、支えてくださった全ての皆様に縁をつなぐことができ、小原和紙工芸の世界を育み、育て上げ、作家としての生涯をまっとうしました。本人の精進研鑽はもちろんのこと、皆様との素晴らしい出会いに恵まれたことを感謝するとともに、後輩として小原和紙工芸の世界を切り拓いてくださった一生先生にあらためて感謝したいと思います」。【新見克也】
豊田市消防出初・観閲式
階梯操法 初の女性太夫 2025.1.17

階梯操法で女性初の太夫を務めた遠藤さんは「消防団を知るきっかけになり、興味を持ってもらえれば」と想いを話してくれた。
豊田市消防本部が11日、市民の消防に対する理解と信頼を深めるため「消防出初・観閲式」を開催し、消防職員156名と消防団員396名が団結や士気を披露した。
今回は初めて豊田スタジアム内のピッチ周りで行われ、2基の大型ビジョンを活用して式の様子や消防PR動画、一斉放水の様子もアップで映し出され、観客席から臨場感あふれる様子を見ることもできた。
観閲者である太田稔彦市長は、「今も復旧作業に取組んでいる能登の消防団に思いを馳せながら、備えること、地域の中で消防団の存在を高め理解を深めてもらうこと、地域のみなさんと連携を取ることで、消防団の地域での役割を再確認したいと思います」と伝えていた。
江戸時代の火消しの心意気を示す、消防団隊による伝統の階梯操法では、第3方面隊の遠藤あおいさん(大学3年生)が女性としては初めて太夫(の上で技をする役)を務め、見事な演技を披露した。
この日は消防に対する市民の関心や防火意識を高めるための「とよた消防フェスタ」も同時開催。多くの親子連れ市民が訪れ、はしご車の試乗体験、地震体験や消防音楽隊の演奏などを楽しんだ。
消防本部予防課の𠮷川雄介さんは、「能登半島地震や東日本大地震を教訓に、災害が起きた時にどうしたらいいか考えてもらうブースを揃えました。様々な経験を通して学んでもらえれば」と想いを話してくれた。【有我 都】+
農業排水路も工夫次第
深場と逃げ場で生物激増 家下川リバーキーパーズ 2025.1.10

改修した水路には2カ所の深場があり、片方の深場には魚が逃げ込める穴もあいている。
昨年度改修された豊田市上郷地区の新しい農業用排水路で、先月上旬、生きものがどのように利用しているかを調べる調査イベントが行われ、土地改良区職員・県職員・市職員・市民団体・教員・学生・地元企業の社員など様々な立場の30人ほどが楽しく参加した。
これは上郷地区の市民活動団体「リバーキーパーズ」が主催したもの。この周辺の水田地帯には家下川を中心に大小さまざまな農業用排水路があり、矢作川とつながっていることもあって多くの生きものが上がってくる。ただ、排水効率だけを考えて造られた平坦な排水路は生きものにとって棲みにくい。
家下川リバーキーパーズは、そんな排水路をちょっとした工夫で生きものが棲みやすい場所に変えようと、市のわくわく事業補助金も使いながら15年前から、豊田土地改良区や矢作川研究所の協力も得て毎年さまざまな実験や工夫、調査を行ってきた。砂や砂利を置く実験、簡易な堰で水位を上げる実験、段差への魚道設置など取組は様々だ。
今回行ったのは、昨年度、豊田土地改良区が農業用排水路(中大排水路)を改修する際に、生きものが棲みやすくなるように設計段階から工夫した場所の調査だ。15年間の経験から、生きものが逃げ込みやすい深場を2カ所つくり、さらに片方の深場の側壁には魚が逃げ込める穴のあいた魚巣ブロックを使用した。
調査は深場2カ所の水を抜き、生きものの種類数や数を比較して魚巣ブロックの効果を知ろうというもの。調査結果は明白だった。ただの深場で捕れたのは5種93匹。これだけ捕れたのも深場の効果だが、もう一方の逃げ込める魚巣ブロックがある深場では7種313匹もの生きものを捕獲できた。多かったのはタイリクバラタナゴ、タモロコ、オイカワ、カダヤシ(外来種)など。魚以外ではスッポンやモクズガニ、イシガイ等も捕れた。豊田土地改良区ではこの結果を今後の水路改修に活かしていきたい考えだ。 【新見克也】
わたしたちのお国じまん
稲武コミュニティ会議 異文化交流イベント 2025.1.10

各国のブースでは、お国じまん料理の試食が振る舞われた。
豊田市稲武地区に在住する外国人や、嫁いできた海外出身者との交流を深める異文化交流イベント「わたしたちのお国じまん」が昨年11月末に開催され、会場となった稲武交流館に100人ほどが集まった。主催は稲武コミュニティ会議の文化部会。前年に続いて2回目の開催だ。稲武地区では人口の3・4%に当たる67人の外国人が暮らしているという。
前半はステージで歌や演奏を披露。後半は各国の人たちが作った〝お国じまん料理〟の試食タイムで楽しんだ。
ブラジルの人は誕生日やイベントの時に食べる「べジーニョ」を提供。コンデンスミルクとココナッツを練って作る甘いお菓子で、子どもたちにも好評だった。
ミャンマーの人は米粉を使った麺料理「ムンヒンカー」を振る舞った。技能実習生として来日しているミャンマーの若い男性たちは、同国の男性の日常着であるバッソーという布を腰に着けて参加。「他の国の色々なものも食べることができて楽しいです」と笑顔で話していた。
会場にはペルー、ブラジル、台湾、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、日本の7カ国のブースがつくられ、母国をもっと知ってもらおうと写真や説明なども掲示。各国のお国じまん料理は20分ほどで完食する人気だった。前回より子ども連れの来場者が多く、始終なごやかな雰囲気で歓談していた。
文化会部長の西尾清二郎さんは農業実習生としてアメリカに一年滞在した経験があり、「外国の若者たちに日本での良い思い出を持ち帰ってほしい」と恩返しの想いを込める。
この日は、豊田市文化振興財団の豊田彬子理事長も参加しており、「色々な国の文化を知ることができる良い機会です。文化の違いを知り、理解しようとすることは温かいまちづくりに繋がります。稲武がその先頭に立ってほしいですね」と話してくれた。【地域記者 奥田清美】
年末年始は新酒でいかが
豊田猿投の地酒「菊石」しぼりたて新酒販売中 2024.12.20

新酒の搾りが一段落した新井康裕(右)と5年目の大橋真輝さん。
豊田市猿投地区の地酒「菊石」の新酒販売が始まっている。年末年始の乾杯におすすめだ。
新酒の第一弾は、先月29日に発売された定番のにごり酒「しろうま菊石」。やさしい甘さで後味がスッキリとしたお酒だ。720㎖が1375円、1800㎖が2750円。
新酒の第二弾は今月7日に発売された「菊石本醸造もと初しぼり生酒」。しぼりたての爽やかさとお米の味わいで新酒のおいしさがあふれる清酒だ。720㎖が1500円、1800㎖が2904円。
この秋の仕込みは厳しい残暑の影響で酵母菌の活性を抑えるのに苦労したそうだが、原料の米は意外にも高温障害による溶けにくさはなく味わいをしっかり出せたという。蔵元直売の年末の営業は、29日は日曜日だが営業。30日は正午まで。年明けは6日から。問合せは☎45・0020へ。
年が明けるといよいよ吟醸酒などの繊細な酒の仕込みが始まり、酒蔵は緊張感に包まれる。 【新見克也】
豊田市美術館 企画展
しないでおく、こと。─芸術と生のアナキズム 2024.12.20

コーポ北加賀屋について説明する関係団体のスタッフたち。
豊田市美術館がいま、企画展「しないでおく、こと。─芸術と生のアナキズム」を開催している。芸術と社会にどっぷりと関わりながらも、軽やかに抵抗・逃避し、創造してきた人々の絵画や立体作品、映像など多種多様な作品が並ぶ。
アナキズムとは、国家や宗教など政治的権威と権力を否定し、個人の自由が重視される社会を運営していくことを理想とする思想のこと。近代化が進んだ19世紀末、アナキズム運動に共感した新印象主義の画家カミーユ・ピサロ、ポール・シニャック、ジョルジュ・スーラらの作品が並ぶ。絵の具の混色を避け、全ての色彩を均一に配置しながら描いた作品だ。
展示のなかには、かつて産業化の進む都市生活を逃れて多くの芸術家たちが集った、スイスの「モンテ・ヴェリタ(真理の山)」を歴史的資料で紹介するコーナーもある。
大阪市の木津川河口の北加賀屋のまちにある協働スタジオ「コーポ北加賀屋」による構造物作品の展示(写真)も目を引く。建築家集団やアーティスト集団、NPO法人など、様々な分野の人や組織が集まり、それぞれが独自に、ときには共同しながら制作やイベントなどを繰り広げているという。
期間は2月16日まで。観覧料は一般1500円、高校生・大学生1100円、中学生以下無料。月曜休館。 【地域記者 大岩容子】
放課後の校庭を子どもの居場所に
稲武で学校プレーパーク 2024.12.13

「いつもは出来ない遊びが出来る」「なくなって欲しくない」などの率直な意見もきかれ、楽しみにしている子どもたちも多い。
放課後も小学校の校庭で子どもたちが遊べるようにと、豊田市稲武地区で学校や地域の協力のもと〝学校プレーパーク〟が開催されている。主催しているのは地元で居場所づくりの活動を続けている市民団体「稲武プレーパーク」だ。
学校プレーパークは「豊田市子ども条例に基づいた事業」という企画名で同地区のわくわく事業の一つに認定され、毎月1回ほどのペースで今年度5回開催してきた。開催時間は下校後の15時から16時半まで。学校の遊具の他、スラッグラインやタイヤ、スコップなどで遊びに没頭する子どもたちの姿が見られる。ノートやペン、ボードゲームもあり、その脇で宿題を進める子もいる。何をするかは自由。見守りはスタッフと有志が担っている。
稲武地区では小学校区が広域なためバスを利用して小学校へ通う児童も多く、そのため学校から帰宅したあと友達と自由に遊べない家庭も少なくない。子どもたちが学校プレーパークを好きな理由の一つはそこだ。保護者からも「場所が学校なので遊ばせるのに分かりやすいし安心」という声があり、子ども園が終わって遊びに来る未就園児の親子も多い。
稲武プレーパークは9年前に活動を始め、道の駅から500m程の自然豊かな場所を拠点にして山の中のプレーパークを開催している。代表の三浦明美さんは「子どもたちの『やってみたい』『やりたくない』を子ども自身が選んで決められるような、こどもの権利が守られる場所にしていきたいです」と話してくれた。
【地域記者 奥田清美】
トラクターと綱引き
豊田市立猿投台中学校が菜の花栽培で環境学習 2024.12.13

トラクターとの綱引き対決では、生徒たちは環境に優しいバイオディーゼル燃料のパワーに圧倒されていた。
豊田市立猿投台中学校の1年生158名が9月から、菜の花栽培を通した全5回の環境学習を行っており、先月19日にはトラクターとの綱引きも行った。講師を務めたのはNPO法人豊田・加茂菜の花プロジェクト会長の梅谷明子さん(51・花丘町)だ。
この日の授業では、まずプランター栽培している菜の花の間引きを体験した。この菜の花は3月の卒業式に飾られ、そのあと根元から15㎝ほどを残してカットし、再度4月に花を咲かせて新1年生の入学式にも飾られる予定だ。菜の花を手入れした後は、廃食油で作った石鹸を使って靴下の洗濯も体験。生徒たちは「こんなにきれいになるとは思いませんでした」と驚いていた。
メインイベントの綱引きに登場したトラクターを動かす燃料は、廃食油から作ったBDF(バイオディーゼル燃料)。CO2排出量がゼロカウントの地球環境に優しいエネルギーだ。生徒たちには「トラクターで耕した畑に菜の花が咲き、収穫すると菜種油や油かす(肥料)になり、廃食油から作ったBDFでトラクターが動きます。これを資源環境サイクルといいます」と説明していた。生徒たちはやる気満々で綱引きに挑んだがトラクターのパワーに完敗。排気ガスの匂いを嗅ぐ体験では「焼肉屋の煙のにおいだ!」と驚いていた。
梅谷さんは「環境を良くするには、遠くの世界の大きなものを見るのではなく、自分の身の回りのことを〝なぜ〟〝どうして〟と考えて選択し、今よりちょっと環境に良いことをしながら生活してほしいですね」と想いを話してくれた。
NPO法人豊田・加茂菜の花プロジェクトは、菜の花を象徴として資源循環を構築していく活動や農地・自然環境の保全に取り組み、また菜の花油の生産や廃油の利用などを通して持続可能な循環型社会の創出を目指している。 【有我 都】
うめつぼ100人ピザ
福祉と地域 顔の見える関係に 2024.12.6

「ピザを通して地域がつながり顔の見える関係づくりができれば」と開催されたうめつぼ100人ピザ。多世代100人の笑顔が集まり、楽しい時間を過ごした。
豊田市梅坪台地区の住民100人でビザパーティーをしようというイベント「うめつぼ100人ピザ」が先月23日、地区内にあるデイサービスよっといでん(西山町)で開催された。主催したのはNPO法人ほっとほーむよっといでんの中垣義治さん(34)だ。
よっといでんには手芸部や園芸部があり、さらに生涯スポーツの1つ「フライングディスク」も取り入れ、高齢者がイキイキと活動している。しかし地域の人たちには、「デイサービスは介護が必要になってから通う場所」「若い世代は関われない場所」というイメージがあると感じていた中垣さん。「100人ピザ」というインパクトあるネーミングのイベントで地域の人に施設を開放し、よっといでんの活動を知ってもらいたいと考えた。さらに、「ピザを通して地域がつながり顔の見える関係づくりができれば」とも考えて開催を決めたという。
自治区をはじめ地域の交流館や民生委員、子ども食堂の協力も得ながら企画を深めていった中垣さん。地域にチラシを配布し9月29日から募集を始めると、仲間から地域の人たちに想いの輪が広がり、27日間で申し込み100人を達成したそうだ。
当日はスタッフだけでなく、同施設で月1回開催しているカフェのボランティアや利用者も運営側で活躍。レンガ造りのピザ窯はコロナ禍で嫌気がさしていた頃に「何か楽しいことができないか」と製作したものだ。参加者はバイキング形式でビザ生地にソースを塗り、ベーコン、玉ねぎ、トマト、チーズなどをお好みでトッピング。子どもにも簡単だった。
トッピングしたピザを窯に入れると、2分で美味しそうなピザが焼き上がった。100人目の家族が来場したのは午後1時前。みんなでクラッカーを鳴らしお祝いした。
企画した中垣さんは「みなさんに頼りながら地域の多世代がつながれました。次は200人ピザにチャレンジしたいですね」と想いを話してくれた。【有我 都】
お祖母さんの柿畑と技術継承
みよし市の伊藤結果さん 2024.12.6

90歳を超えたお祖母さんから受け継いだ柿畑で収穫する伊藤結果さん
光沢のあるオレンジ色の実を手に「この柿、色も形もかわいいでしょう?」とほほ笑むのは、みよし市北部の柿農家「」代表の伊藤さん(34)だ。
結果さんは幼い頃からお祖母さんの育てる柿が大好物で、柿畑の仕事を手伝ってきたそうだ。そのお祖母さんが90歳を超えて引退するのを機に、味と柿畑を守り受け継いでいくことを決意し、1年間の農業研修を経て昨年新規就農した。「」というユニークな屋号は、一緒に栽培している父親の茂さんと母親の俊子さん、そして自分の名前から一文字ずつとって名付けた。
栽培方法は〝おばあちゃんのやり方〟を忠実に守っており、みずみずしさとシャキッとした歯ざわり、程よい甘さが自慢だ。その美味しさと栽培の様子を多くの人に知ってもらおうと、インスタグラムで積極的に情報発信している他、マルシェやイベント等での対面販売にも力を入れ、消費者と直に接することを大切にしている。
「柿は苦手と言う人が試食して『美味しい!』と言ってくれると、思いが伝わったと感じて嬉しいんです」と話す結果さん。小中学校の校外授業や調理実習にも協力し、若い世代だからできることを見つけて、みよしの柿を広めていきたいそうだ。
今秋は気温が高いため収穫期が短く、12月初めには収穫終了の見込み。見た目が多少黄色くても十分熟して味がのっているそうだ。また今年は全国的にカメムシが大量発生して果汁を吸われた跡が残るものもあるが、中までは傷んでいないので黒くなっている部分を切り落とせば美味しく食べられるそうだ。
茂俊結の柿は大手スーパーの地元特産物コーナーや、各種マルシェ、インターネットで購入できる。みよし市果樹組合主催の柿オーナー園制度にも参加していて収穫体験もできる。【八木 愛】
消防ホースで御守り
防災学習センターで秋の防災企画展も 2024.11.22

豊田市消防本部がこの度、役目を終えた消防ホースを価値のあるものとしてアップサイクルし、オリジナルの「消防ホース御守り」を製作・販売した。200個限定で残り少ないそうだ。
この取組は秋季全国火災予防運動(今月9〜15日)に合わせ、広く市民に火災予防を啓発する取組の一環として企画されたものだ。障がい者の仕事づくりの観点から、福祉施設の就労支援を行っている豊田市共同受注窓口㈱アルディと連携し、豊田西病院内にある福祉施設サン・ワークショップ(保見町)が製作を担った。
御守り袋のサイズは縦7㎝×横4㎝で、表面には市消防本部の腕章と「火の用心」のメッセージがプリントされている。また、購入者自身が願い事を記入して御守りの中に入れるための用紙も同封されている。
消防本部予防課の森脇涼太さん(33)は、「消防ホースに触れ、御守りとして身につけて身近に感じてもらうことで、防火意識の向上につながるといいですね」と想いを話してくれた。
なお消防本部予防課では、防災学習センターのオータムフェア・防災企画展を今月末30日まで開催中。中部電力パワーグリッド㈱、東邦ガスネットワーク㈱や愛知工業大学も協力している。
火災予防対策を学ぶ・身につけるコーナーでは感震ブレーカーや住宅用火災警報器を紹介。災害に備えるコーナーでは災害時のライフラインについて学べるパネル展示が行われている。
常設展のコーナーには今夏からキッズスペースが設けられ、子どもも楽しめる消防等に関する本も置いてある。【有我 都】
男の珈琲塾
とよた男女共同参画センター 2024.11.15

あぶさんと店主の鈴木さん(中央)からレクチャーを受けながら焙煎を体験する参加者たち。
コーヒーのプロから焙煎方法や淹れ方を学び、人生をより豊かに過ごしてもらおうという男性応援講座「男の珈琲塾」が10日、とよた男女共同参画センター「キラッ☆とよた」で開催され、20〜60歳代の男性23名が参加した。講師には市内神田町にある「自家焙煎珈琲あぶさんと」の店主鈴木敏男さんが招かれた。
鈴木さんはまず、「コーヒーの焙煎講座はなかなかありませんから、を見る機会もあまりありませんよね」と話を切り出し、用意した2種類のコーヒー豆の特徴やハンドロースターなどの道具の使い方を説明。焙煎によって生豆の水分が抜けていくと〝パチパチ〟と豆が弾ける音がし、細かい優しい音に変化したら煎り上がりの合図だということや、火加減によって焙煎度合い(浅煎り、深煎り)が変わることを解りやすく伝えていた。
参加者は4人ずつのグループになり、火加減や煎り方のコツなどを質問しながらハンドロースターによる焙煎を体験。1種類目の豆を深煎りし過ぎてしまったグループも、2種類目には要領を得て上手く焙煎でき褒められていた。
焙煎の後はコーヒーミルで豆を引いて淹れ方をレクチャー。自分たちで焙煎した2種類のコーヒーを飲み比べた。鈴木さんが「同じ豆でも煎り方によって全く違う味になりますよ」と伝えると、参加者から「全部のグループの珈琲を飲み比べてみたい」という意見も出ていた。
講座の終了後、参加者たちは「道具を揃えてコツを掴みたい」「気軽に始められそうなので自分のスキルの1つとして試してみたい」「同じテーブルの仲間と話しながら楽しめました」と感想を話していた。
同センターは男性応援講座として来年1月に「親子ハンバーグ作り講座」も予定している。新しい経験やつながりを楽しみ豊かな生活を見つけることで、家事参画や社会貢献のきっかけ作りにつなげていきたい考えだ。 【有我 都】
日台の版画40点が並ぶ
豊田市美術館ギャラリーで版画交流展2024.11.15

オープニングで版画の技法について説明する台湾の作家
版画を通して日本と台湾の親善交流を図ろうと、豊田市美術館ギャラリーで12日から「名古屋・台北版画交流展」が開催されている。期間は今週末17日(日)まで。入場無料だ。
この版画交流展は現代美術作家の山田さん(86)を代表とする「名古屋を考える美術家の会」が主催したもので、台湾国立師範大学を中心とする版画家20名と、名古屋を拠点に活躍する版画家11名が計40点ほどの作品を出品している。
両者の交流は2年前に台湾で開催された国際版画展がきっかけ。今年6月には台湾で「台北・名古屋版画交流展」を開催し、日本側から10名が訪れて大学内の工房で演習や技法についての意見交換をしてきた。
今回はその返礼として日本での開催。豊田市美術館を会場に選んだのは現代アートの企画展示で国内外に高く評価されており、台湾の作家たちに喜んでもらえるからだという。代表の山田さんは見どころを、「台湾の版画作家の技術と、日本の版画作家のアイデアの面白さを見比べてください」と話す。日本は版画の歴史が古く技術面でやり尽くされた感があるため、現在は技術よりもアイデアの面白さを追求する方向へ向かっているという。一方、版画の歴史がまだ浅い台湾の作家たちは技術を追求する流れの中にあるそうだ。
初日のオープニングは日本らしく琴の演奏でもてなした。 【新見克也】
丹野氏13万票超え圧勝
衆院選 愛知11区(豊田・みよし)2024.11.1

全トヨタ労連の支援や多くの女性の支持を集め、大差で初当選した丹野みどりさん。「地域の悩みは国の悩みです」と、国民の声を大切にし、形にしていくと決意の表情も見せていた。夫の丹野将基さん(写真左)と二人三脚で選挙を勝ち抜いた。
衆院選が先週27日に投開票され、派閥の裏金問題で逆風の自民党が大敗。豊田・みよし市の愛知11区でも自民党に対する民意は予想していた以上に厳しく、当選4期で環境副大臣の八木哲也氏(77・4期)が惨敗する結果となった。
一方、国民民主党から立候補し、全トヨタ労連の推薦を受けた丹野みどり氏(51)は自民批判票の受け皿にも。NHKが午後8時にいきなり当確を出し、選挙事務所は大騒ぎになった。
丹野氏は名古屋市出身。トヨタ労組の古本伸一郎氏が引退した愛知11区で国民民主党から立候補するため、2年前に豊田市へ拠点を移し、来たる衆院選に向けて街頭演説やおしゃべり会などの活動を精力的に続けてきた。こうした地道な活動は多方面で評価され、自民批判の無党派層の心をつかんだようだ。
全トヨタ労連の推薦については、古本伸一郎氏のような労組の組織内候補ではなく、組織外の候補であるため組織末端への浸透が難しいと思われたが、結果的に無党派層の市民パワーと労組の組織力で13万4千票余を獲得。大勝利した。
【新見克也】
豊田市指定有形文化財 旧松本家・遊佐家長屋門
秋の特別公開 2024.11.1

柳澤二郎さんに教わりながら、折り紙のように折るだけで丈夫なトートバッグが完成した
豊田市高橋地区の寺部町にある市指定有形文化財「旧松本家長屋門」と「家長屋門」が、先月26・27日の2日間特別公開された。また公開に合わせて、ほほえみ地蔵画、染物、ステンドグラスなどの作品展示会や染めもの体験会も催され、市内外から多くの人たちが訪れた。
旧松本家長屋門と遊佐家長屋門は市内でも数少ない武家屋敷の建築で、どちらも2009年に豊田市の有形文化財に指定されている。
徳川家康の時代の寺部は、若い頃から多くの合戦で家康を支え「槍の半蔵」と呼ばれた徳川十六将の渡辺が治めた地。町には城(陣屋)があり家臣の屋敷も置かれていた。現在も渡辺家の菩提寺である寺や寺部城跡をはじめ、「旧松本家長屋門」や「遊佐家長屋門」のように、守綱に仕えた家臣たちの居宅の一部が城下町の面影を残している。
松本家は御給人、小納戸方、殿様の側役などの役職を務め、遊佐家は寺部の普請奉行として仕えてきた家柄。旧松本家長屋門の土地と建物は市に寄贈され、また遊佐家長屋門は第15代当主の遊佐幸子さんが管理して、「長屋門公開中」と掲示されている時は見学できる。
遊佐さんは「この長屋門は、残さなければという思いで補助の無いなか維持管理しています。皆さんの応援や協力に感謝しています」と想いを話してくれた。 【有我 都】
挙母祭り
山車 勇壮に曳込み 2024.10.25

朝10時本楽の朝10時、八台の山車が次々と神社境内へ山車を曳き込まれていく。
豊田都心の挙母神社の例大祭「挙母祭り」が先週末19・20日に開催された。初日のは雨のため、中心市街地でを運行する五町曳きは中止となったが、翌日の本楽は秋晴れ。多くの観客やカメラマンが集まるなか、上町三町と下町五町の山車八台が挙母神社へ曳き込まれた。先頭のは喜多町が務めた。
挙母祭りは中心市街地や樹木地区の人づくり、まちづくりにも深くつながる素晴らしい祭りだ。ただ山車の運行には課題も少なくない。その最たるものが山車の上で若い衆が吹き鳴らす「突撃ラッパ」だろう。場違いな上、山車の中から聞こえるお囃子の音色を自ら掻き消し、祭りの雰囲気を台無しにしている。
記者は今年も本楽の朝、挙母神社への山車の曳き込みを見てきた。神社前に列んで待機する八台の山車からは太鼓の重低音が響いていてゾクゾクする。しかし、それはすぐに突撃ラッパのカン高い騒音で掻き消されてしまう。残念だ。祭りをより良くしていきたい想いがあれば真っ先に排除すべきものだと思うのだが、どうしても無くならない。 【新見克也】
紙製の米袋をトートバッグに
都市と山村交流のきっかけに 2024.10.25

柳澤二郎さんに教わりながら、折り紙のように折るだけで丈夫なトートバッグが完成した。
丈夫な紙製の米袋をアップサイクルしてトートバッグを作るワークショップが今月2日、豊田市足助地区町のアトリエ・チェルシーで開催された。講師を務めたのは旭地区在住の柳澤二郎さんだ。
柳澤さんは旭の拠点施設つくラッセルで勤務しながら自宅用の米を栽培している。普段使っている30㎏用の米袋が紙製ながらとても丈夫なので捨ててしまうのはもったいないと思い、オリジナルのトートバックを考案。愛用しながら改良を重ね、ミシンや接着剤などによる補強をせず、カッターナイフで切って折り紙のように折るだけで重たい書類なども入れられるバッグが完成した。持ち手も含めて1枚の紙袋を余すところなく有効に活用し、また持ち手の部分に着物の帯結びを応用するなど和の知恵も取り入れている。用途に合わせてバッグの大きさや持ち手の長さを変えることも可能だ。
柳澤さんは、都市住民が山村の農家とつながって直接お米を購入したり、田植え体験に訪れたりする機会が増えることを願い、米袋トートバックがそのきっかけになればと考えている。「おったんとーと」と命名し、商標登録を申請中だ。
岡崎市からワークショップに参加した伊藤真千子さんは、「実家で作ったお米をいつも食べているので米袋がたくさんたまっていて、何かに使えないかなと思っていました。デザインも素敵で気軽に作れるので、とってもいい活用法だと思います」と嬉しそう。会場となったアトリエ・チェルシーのカカムトモエさんも「作る人によっても、使う米袋によっても違うものができて、どれも可愛いですね」と笑顔で話していた。旭のつくラッセルでも11月1日(金)に同様のワークショップが開催される予定だ。 【地域記者 戸田育代】
衆院選愛知11区八木氏背水の陣
国民丹野氏 労組末端への浸透は 2024.10.18

左から丹野氏、八木氏、植田氏
衆議院議員選挙が15日に公示され、いよいよ12日間の選挙戦に突入した。愛知11区(豊田市・みよし市)では自民党、国民民主党、共産党から写真の3氏が立候補している。
自民党からは現職4期で環境副大臣の八木哲也氏(77)が立候補した。八木氏はこれまで小選挙区でトヨタ労組の古本伸一郎氏に勝てなかったが、比例復活で当選し続け、前回4回目の選挙では古本氏の突然の引退によって不戦勝的に小選挙区で当選した。八木氏にとってこれまでの選挙と大きく違うのは、党の内規によって比例復活当選が無いということだ。つまり小選挙区で勝つしか道がなく、陣営はそのことを有権者に伝えて危機感を訴えていく。
国民民主党からは元CBCアナウンサーで新人の丹野みどり氏(51)が全トヨタ労連の推薦を受けて出馬した。2年ほど前から豊田市に移り住み、衆院選にむけて街頭演説や市民とのおしゃべり会を精力的にこなしてファンをつくってきた。労組の支援については、まだ丹野氏の名が組織末端まで浸透していない状況。そこへのアプローチがカギになる。
共産党は元党専従職員で新人の植田和男氏(75・岐阜県御嵩町)を擁立。出発式は豊田市駅前で開き約30人が集まった。植田氏は「この総選挙は裏金問題が大きな争点。自民党は総裁選挙で顔を変えたが、お金で動く政治は変わらない。石破さんにも裏金問題が持ち上がってきた。彼は総理大臣になってわずか9日間で国会を解散した。逃げ切り解散です。真相解明のためにもぜひ日本共産党に力を」と呼びかけた。
豊田市博物館開館記念展
「旅するジョウモンさん」 2024.10.18

新潟県十日町市で出土した国宝の火焔型深鉢形土器(手前)と、青森県つがる市で出土した重要文化財の円筒上層式深鉢形土器(奥)
豊田市博物館で4月のオープン後初めての企画展となる開館記念展「旅するジョウモンさん─5千年前の落とし物─」が始まった。期間は12月8日まで。国宝などの重要な展示物を扱う部屋の新築は、有害物質を出し切るために完成から二夏経ないと使えないルールがあるため、開館記念展が秋開催となった。
テーマは豊田市内にも遺跡の多い縄文時代。約1万年という長い期間続いた同時代のなかでも、とりわけ地域色が豊かでユニークな土器が作られた中期(約5千年前)にスポットを当てている。国宝の型土器(新潟県十日町市博物館蔵)をはじめ重要文化財22点を含む約420点の土器や石器、土偶などの展示物を全国各地から集めており、近隣の博物館では近年に無い規模だという。
展示はタイトルになっている主人公の「ジョウモンさん」が自身の生き方を通して縄文時代を解説していくというもの。ジョウモンさんは長野県伊那地方生まれの20代後半の男性で、10〜20代のころ全国を旅してまわり、今は結婚して奥さんの実家がある豊田市の水汲遺跡に家族と住んでいるという設定だ。展示は6章に分けられており、①人口増加とともに文化的で地方色が豊かであったこと、②縄文土器の形や文様の特徴、③食料や道具の材料、④装身具の原石、⑤土偶や願いが込められたモノ、⑥縄文時代中期の終わり頃の出土遺物、の順で、とても解りやすく観て回れる。
担当学芸員の名和奈美さんは、「教科書に載っている有名な国宝の火焔型土器をはじめ、全国の同じ時期のいろいろな形や文様の土器を一度に見ていただけ、縄文時代の暮らしも知っていただけます。ジョウモンさんと一緒に5千年前の旅を楽しんでください」と想いを伝えていた。【有我 都】
豊田商工会議所のラリーカー完成
会員55社がスポンサーに 2024.10.4

豊田商工会議所会館で開かれたお披露目会で
豊田商工会議所は今月1日、豊田市内で12月1日に開催予定の「トヨタガズーレーシング(TGR)・ラリーチャレンジ」に出場する独自のラリーカー「WE LOVE とよた号」の完成披露セレモニーを商工会議所会館(小坂本町)で開いた。
TGRラリーチャレンジは入門編のラリー競技。2018年から豊田市も開催都市となっており、同会議所も「元気なとよた」をアピールし、「くるまのまち豊田」のラリー文化を醸成していこうと、会員企業から協賛を募って2020年から出場している。今年で5回目だ。独自のラリーカーで競技に出場している商工会議所は全国でも豊田だけだという。
お披露目会の冒頭では三宅英臣会頭があいさつ。昨年より多い55事業所が協賛してくれたことに感謝し、「豊田がラリーの聖地にとなるよう継続してみなさんで盛り上げていきましょう」と想いを伝えた。
お披露目したラリーカーはトヨタGRヤリスの新型で、これまでよりもエンジン性能が格段に向上しているという。外装デザインは市の花「ヒマワリ」をイメージした黄色をベースに、葉の緑色をイメージした幾何学模様があしらわれた印象的なカラーとなっている。ドライバーには広島県出身で中京大学3年生の森島和輝さん(20・写真右)を新たに採用した。
子どもの頃から車好きで、2022年に見たラリージャパンに衝撃を受けてラリードライバーを志したという森島さん。「最高のパフォーマンスを披露し、良い形で完走して優勝したい」と意気込みを伝えた。コ・ドライバー(助手席のナビゲート役)を務めるのはラリー競技歴25年のベテラン宮部さん。 【有我 都】
大豊工業労働組合
フードバンクへお米寄付 2024.10.4

大豊工業労組の2人からお米の寄付を受け取るあいステさくらの山内健二理事長。
豊田市緑ヶ丘の大豊工業労働組合が今月8日、益富地区で子ども食堂の食材管理をしている愛知西三河子ども応援ステーション(あいステ)さくらへお米の寄付を届けた。今後、市内の子どもの施設に届けられる。
お米を届けたのは執行委員長の長谷貴普さん(43)との青山翔一さん(40)二人。子どもたちのために何かできることはないかと考え、日持ちして誰もがいつも食べているお米を寄付する事となったという。労組執行部が主体となるのではなく、組合員一人ひとりが携わりやすく、個々の支援や寄付の意識のきっかけになればと「米(マイ)サポートプロジェクト」を立ち上げ、組合員みんなにお米の寄付を募った。
9月の研修会で集める予定だったが台風の影響で会は中止に。それでも33名がお米を持ち寄り、51合のお米が集まったそうだ。お米の袋には「たくさん食べて大きくなってね」「元気が一番!」などの心暖まる言葉の支援も添えられた。執行委員長の長谷さんは「自立と自走の組合員を目指しています。今回の取組が自分で行動して仲間をつくり自走するきっかけになれば」と話してくれた。
あいステさくらで子ども食堂を担当する山内日出美さんは、「大豊工業労組の社会貢献への想いに共感しました。父親の立場であるお二人が、子どもたちの将来を想い描いて取組んでくれたことに心を打たれました」と感謝の気持ちを伝えた。
同労組では組合員家族を大切にしようと、何十年も前から新1年生のいる組合員宅を一軒一軒まわり、新入学祝いの文房具セットを手渡している。その余剰分がたまると児童養護施設に寄付をするなどの社会貢献も続けているそうだ。
あいステさくらでは子ども食堂の運営に必要な食材・物品・支援金の寄付を募っている。また寄付の方法を悩んでいる企業等の相談にも乗っている。問合せは山内さん(☎090・8151・7935)へ。 【有我 都】
豊田市議会がラリー継続賛成の意思も
附帯決議で当局に注文 2024.10.4

議会の様子
豊田市議会9月定例会最終日の25日、すべての議案の可決後に、議員提出で世界ラリー選手権(WRC)の今後の継続開催について附帯決議が行われ、共産党以外のすべての会派が賛成した。当局が推進する「ラリーによるまちづくり」を応援しながらも、市議会の意思をあらためて強く示した形だ。
今回の附帯決議は、可決された一般会計補正予算の中の、WRC継続開催に伴う〝債務負担行為〟補正予算(17億円余)に対して行ったものだ。
この債務負担行為は、豊田市主催でWRCを開催中の3年間(2023年〜2025年)の、次の3年間(2026年〜2028年)も豊田市でWRCを継続開催できるよう、プロモーターに予算の裏付けを約束するもの。市長選以来、当局と緊張関係にある最大会派の自民クラブも、WRC継続のために必要だとして債務負担行為補正予算を認め、その上で附帯決議で注文をつけた。
附帯決議の提案者は自民クラブの水野博史議員。市当局につけた注文は8項目。いずれの項目も既に当局が取り組む方針を示したものであり、また、市議会として当然確認すべき内容でもあるため、第2会派の市民フォーラム(労組)や野党色のある新しい風とよたも附帯決議に賛成の立場をとった。【新見克也】
足助の酒「範公」
10周年限定セット販売 2024.10.4

村定酒店
足助産のミネアサヒ米を100%使用した足助の日本酒「範公(はんこう)」が誕生から10年を迎え、販売元の村定酒店がいま、特別限定セットを売り出している。
「範公」とは鎌倉時代に足助を治めていた武将・足助次郎のこと。むかし足助の酒蔵でこの銘柄の日本酒が造られていたという。足助の酒蔵は戦後に姿を消してしまったが、今から10年前、村定酒店の店主・中山昌平さんが「地域や観光客に愛されるような足助の酒を造りたい」と発案し、足助商工会や地域住民の協力のもと、足助の新たな特産物として売り出した吟醸酒だ。おとなり稲武の関谷酒造吟醸工房に醸造を依頼している。
中山さんは当時、「地域住民でつくること」を大切に考え、企画、銘柄、ラベル、箱に至るまで全てをみんなで話し合いながら作り上げた。酒米も地元産にこだわり、小粒で硬いミネアサヒ米は製造過程にひと手間かかっている。やや辛口ですっきりした味は地元の住民たち延べ100名による試飲を重ねて決めたという。
残念ながら店主の中山昌平さんは今年4月に46歳で急逝したが、想いを引き継いで妻の中山美奈さん(47)が店に立つ。美奈さんは「10年経った今でも愛飲してくださる近所の方や観光客のみなさんがいて本当に嬉しい。これからもみなさんに愛される自慢のお酒でありたいです」と話してくれた。
限定セットの内容はプレミアムラベルの範公500㎖瓶とミニ枡。ラベルには地域の家紋を数種あしらい、ミニ枡には範公の焼印が押されている。限定100セットで足助地区のみで買うことができる。値段はオープン価格。問合せは村定酒店(0565・62・0140)へ。
なお村定酒店では珍しい生原酒の量り売りや、三州足助屋敷の職人が手がけた木製酒器とお酒のギフトセットなども販売している。木曜定休。【地域記者 庄司美穂】