パチパチ、プチプチ。頭上から何かが弾けるような音が聞こえてきました。見上げるとそこには、イカルがデンと構えて、モミジの種を食べている姿が。太くて立派なくちばしで種を挟んでパチッ!固い種をもぐもぐするたびにパチパチプチプチ。次から次へとよく食べるんですよ、これが。
手近な種は食べつくし、今度は枝の先の方に付いている種を食べたくなったイカル君。そそっと近寄るも、まだ届きそうにありません。するとグイーンと首を目いっぱい伸ばしてゲット!ここまで長くなれるとは、普段いかに首を縮めているかがよくわかります。そう、鳥の首は骨の数が多くて長いのですが、通常は曲げているので短く見えているだけなんです。
今度は地面に舞い降りて、落ちている種を探し始めました。くちばしで落ち葉をカサカサとかき分けて、お目当ての物を探しています。その周りにはなんとイカルがいっぱい! その数三十は下りません。そんなにいたの? 落ち葉の上だと意外と目立たず、遠目には地面がもぞもぞ動いているようにしか見えない。気付かないわけだ。
このずんぐり体型は、その食べっぷりを見ると納得。人間がお正月でこうなっちゃうのも納得…。
薄く雲がかかった空を見上げると、そこには何と、大きなまん丸の穴がぽっかり開いているじゃないか! ミステリーサークル出現! UFOが宇宙から降りてきた跡だな、きっと。なんて、実はそうじゃないんですよ。あ、わかってました?
これは「穴あき雲」と呼ばれる現象です。そのまんまの名前ですね。この不思議な雲がどうやってできるかというと、雲を形作っている水滴の一部が何かの刺激を受けて氷の粒になるところから始まります。いきなり凍るって、寒いおやじギャグでも聞かされたに違いない。それはさておき、氷の粒は周りの水滴をくっつけながら拡大していきます。大きくなるにつれ重くなった氷がついに落下することで、雲に穴が開くという訳です。
バランスを崩したヤツが、よせばいいのに周りも巻き込んで次々と落ちていったという、何ともはた迷惑な話です。簡単に言うと。でも穴あき雲は珍しい現象なので、迷惑野郎に感謝しなきゃいけませんね。
ちなみに穴あき雲の中に見えるすじ状の雲は尾流雲といって、迷惑野郎が落ちていったときの痕跡なんだとか。きっちり爪痕を残していくとは、転んでもただでは起きないタイプだな。
夜の森を木から木へ、滑空と木登りを繰り返しながら移動していくムササビ。とても静かに飛ぶので、聞こえてくるのは木を登る時のカッカッという音くらい。飛膜を広げると人間の子どもの体くらいと大きいので、いきなり近くに飛んでこられるとビックリどころか恐怖! 昔の人が天狗と思うのも無理はないかも。
ムササビは木の枝をかみ切ってから、枝についている葉や実などを食べます。でも枝は食べないのでポイッと捨ててしまいます。落ちている枝を拾って枝の切り口が斜めにスパッとなっていたら、ムササビの食痕の可能性大です。
ある夜、巣から出たムササビを追っていると、一本の木の上で動かなくなりました。あら、お食事中でしたか。でもよく見ると、枝を切らず木に付けたままで葉を食べているじゃないか!移動した先でも同じように枝を切らずに冬芽を食べていたので、たまたまではなく性格なんでしょうね。もしかしたら親も同じような食べ方をしてたのかも?
本に書いてあることが全てなのではなく、やっぱり自分の目で見ることがとっても大切。こういうおもしろい発見があるから夜遊びもやめられないんです。
クリの実が落ち始め、空にはいわし雲やうろこ雲が広がるようになると、秋の鳴く虫たちの季節です。コオロギやキリギリス、マツムシにスズムシあたりが有名どころ。でも鳴く虫はたくさん種類がいるので聞き分けるのは結構難しく、私もまだ習得できていません。
茂った木から聞こえるリリリ…という高音はヤマトヒバリのもの、と教えてもらいました。ヒバリといっても鳥ではなくスズムシの仲間です。昼間からよく鳴くので声は聞くけど、体が小さいので姿を見るのは至難の業。すぐ近くで鳴いているから見えそうなものなのに、うーん、わからん。枝の隙間をのぞいて探している時に、木に自分の体が当たって揺らしてしまうと、ありゃ〜鳴き止んじゃった。
そのまま気配を消すように静かに待ち、鳴き始めてくれたら捜索再開!そしてついに葉っぱの隙間から見えました! を目いっぱい立てて広げてオスが鳴いています。この姿はたしかにスズムシの仲間ですね。小さい体でよくこんな大きな音が出せるもんだ。
翅が薄く向こうが透けて見えています。しかもその翅がハート型になってるじゃない。ハートを形作って歌うラブソングなんてステキ過ぎる〜。
一般的なナナフシは木の上で見かけることが多いですが、トゲナナフシは地面派のようです。まったく動きません。逃げないのをいいことに本物の枝を横に並べてみると、そっくり過ぎてどっちが枝かわからなくなりました。普通なら「枝が落ちてる」程度にしか思われないでしょう。でも一度気付くと、その周りに何匹もいるのが見えてくるからおもしろい。ごめんね、私は気付いちゃったよ。
一匹がおもむろにお腹を挙げてエビ反りになった次の瞬間、おなかの先から丸い物がポロリ。糞かと思っていましたが写真を拡大すると、卵!
卵は植物の種子に似せているという話があります。親子そろって植物なりきり術の名手とは、その徹底ぶりに感心しちゃいます。
ちなみにナナフシの仲間の多くはメス単独で繁殖できるため、オスはとっても少なく、普段オスは不要だそうです。ドキッとした男性は自分の存在意義をアピールしましょう。
秋はカマキリの季節。ひと口にカマキリと言ってもいろんな種類があります。有名なのは体が一番大きくて立派なカマを持ったオオカマキリ。一度仕留めた獲物は決して逃がさない強靭なカマを武器に、なんと小鳥でさえ食べてしまうことも。でも中にはとても小さく、か弱いカマキリもいるんです。
その名もヒメカマキリ。体長は3㎝前後なので、ちょうど一寸法師くらいですね。一寸法師を見たことはないけど。
そんなカマキリが葉っぱの上にちょこんと乗っていたので近付いていったところ、出ました必殺技!小さいカマを振りかざし…ではなく、なんとその場で伏せっ!両方のカマを前に突出し、お腹を完全に葉っぱにぺたんと付け「降参です」状態。君は犬か?
またある時は、地面にコロンと落ちてひっくり返り、肢を縮めて死んだマネ。犬の服従姿勢そのものです。カマキリ界の犬と呼んであげよう。あまりの戦意ゼロの様子に「それでも肉食か」と突っ込みたくなりますが、敵わない相手をやり過ごすために受け継がれてきた、一番良い方法なんでしょう。ヒメカマキリの処世術、人間の社会にも通じるものがありそうですね…。
原っぱに足を一歩踏み入れると、ビョンビョンとあちこちでバッタたちが飛び跳ねる季節です。有名なのは細長いショウリョウバッタ。オスはメスより小さいけど、いざというときはピョンと跳ねるなんて生易しいもんじゃなく、はねを広げて大飛行しちゃいます。10m以上だってお安い御用!
オンブバッタも有名ですが、ショウリョウバッタと比べるとずんぐりしていて顔に粒々があるところが違い。おんぶバッタだって、おんぶしてない時の方が多いんです。
ショウリョウバッタにしては雰囲気が違うなあと思ったら、こちらはショウリョウバッタモドキ! 後ろ脚を三角形に立てるショウリョウバッタと違い、こちらは脚をたたんで体に沿わせているから大人しい雰囲気に見えるんです。体操座りと正座みたいなもんでしょうか。
実際大人しくて、草にとまっているところに近付いても、イヤだったら反対側にクルッと回るだけ。「見えていないつもり」作戦でやり過ごそうとしてるんだな。かわいい。ただ、ピョンと逃げた先がクモの巣で、グルグル巻き〜なんてこともよくある話。どの作戦が良いとは一概に言えないんですよね。
夏は生き物たちが元気いっぱいで楽しい季節。でも注意が必要な生き物もいて、特にハチは街なかでもいるので要注意。
池の水際で座ってトンボを見ていたある暑い日のこと。そこには大きなマツの木が枝を伸ばして日傘の役目をしてくれていたので、快適でした。夢中になって水辺のトンボをカメラで追っていると、突然背後からブーンという大きな羽音。スズメバチかとドキッとし、慌てず動きを止めてやり過ごそうとしたのに、私の背中にビタッと着地。えぇ〜っ!
何か大物がとまり続けている感覚はあるものの、攻撃してくる様子はありません。かといって払い落として怒らせるとまずいし、その場にいるのは私一人なので何かあっても助けてもらえない…。ひたすら恐怖と戦うこと数分、悩んだ末に、とうとう手で一気に払い落としてしまったのです!
ボトッと地面に落ちたのは大きなハチ!ではなく、タマムシか〜い! ややこしいことするな!と激怒したものの、マツにつくこのウバタマムシとしては、ただマツに向かって飛んできただけ。ネタの提供ありがとう。確実に寿命が縮んだけどね。下手な怪談より涼しくなれる笑い話でした。
暑い夏はグーッと一杯!と、朝っぱらから樹液をいただいているミヤマクワガタ君、しかも彼女連れ。正確にはオスは彼女をガードするのに精を出し、おいしい思いをしているのは彼女だけだったりする?
夏の森を歩いているとときどき甘酸っぱい樹液のにおいが漂ってきて、太い木の根元でカブトムシやクワガタ、カナブンが大宴会中!なんて所を見つけると大興奮しちゃいます。
なかには、においはしないけど人気のスポットもあります。宣伝しなくても知る人ぞ知る隠れ家的なお店ってやつでしょうね。
で、そんなお店に来店していたのがこのカップルです。「お味はどうですか?」と声をかけてカメラを向けると…、メスをガードしているオスが背中をググッとこっちに向けて、メスを隠そうとするじゃありませんか。正面から撮ろうと思ったら、今度は大きな顎をメスの上にかぶせ「指一本触れさせないぞ」状態。きゃ〜なんてかっこいいの!何があってもキミを守る!っていうオスの深い愛を感じますね。いいなぁ…。
しかしオスのクワガタにライバル視される私って一体…。こう見えても一応メスなんですけど。
昔々、竹林で光る竹をおじいさんが切ったら、中から出てきたのはなんとかわいいかぐや姫。えっ?切るのが面倒? そんな人向けに現代では足元に姫が立ってるんですよ。
レースのスカートをはいたこの姫はキヌガサタケというキノコです。竹林に生えますが、どこでもあるわけではなく、実はちょっと珍しい。私も教えてもらって見に行くと純白のスカートが輝いて見えて感動しました。
頭のような部分が黒っぽいのは胞子を含んだ粘液が付いているから。どうなってるのかと顔を近づけると…クサッ! こ、これはたまらん! 強烈なにおいが鼻を直撃。姫、随分変わった香水をお使いですな。
人間には厳しいこのにおいも、虫たちにはおいしそうに感じられるようです。これで虫を呼んで胞子を運んでもらうんだとか。花が甘い蜜で虫を呼ぶように、キノコにはキノコの作戦があるようです。
かぐや姫は数年後には月に帰ってしまいましたが、この姫はもっと早く、朝に伸び始めたと思ったら午後には倒れて土へと返っていきます。どれだけ長く生きたかでなく、どれだけ最大限に輝いたかが大切なんでしょうかね、姫。
いろいろな夏鳥の歌声が響く季節。爽やかな森を歩いていると、ちょこまかと枝から枝へ動き回る小さな鳥と出くわしました。夏鳥のセンダイムシクイです。いつもは木の高いところでさえずってばかりでなかなか姿を見られませんが、食べ物探しに夢中で私が見ていても気にしていない様子。ラッキー!
木の葉が青々と茂るこの時期は食べ物となる虫がいっぱい。でも虫も黙って食べられてちゃやってらんない!ということで、葉や枝に化けたり紛れるような色をしたりと生き残る作戦を取っています。
このセンダイムシクイもいろんな所を丹念にチェックして回り、ついにイモムシをゲット。ごっくんと飲み込みま…おえ〜っ。おいおい、いきなり吐き出すんかい。虫が必死に抵抗したのかしら? このあと吐きだした虫を回収していきましたが、真下で見てなくて良かった…。危うく「鳥が吐いた虫を浴びた女」として語り継がれるところでございました。
ちなみにセンダイムシクイの「チヨチヨビー」というさえずりは「焼酎一杯グイー」と表現されることも。焼酎よりビールとか言ってるあなた! 私は日本酒、純米大吟醸でお願いします。
朝の散歩が気持ち良い季節です。にぎやかな鳥の声が聞こえてくる方向を見たら、木の枝が妙に太くなっている部分がありました。何だろう?と思ってよく見てみたら、フワフワしたものがかたまっているようです。なんと、巣立ちしたばっかりのエナガのヒナたちがギュギュっと目白押しになってるじゃありませんか!メジロじゃないからエナガ押しか…。
一羽でもかわいいのに全部で九羽も並んでるなんて、かわいすぎる!時々伸びをしたり向きを変えたりしますが、決して隙間を開けずにエナガ押し状態をキープ。
そこへ親が食べ物を持って帰ってきました。くわえていた青虫を端っこのヒナの口にギュッと押し込んで受け渡し完了。では真ん中のヒナにはどうやって食べ物を渡したか…ヒナの間に割り込んだ訳ではありません。正解は、渡したいヒナの足元の枝にぶら下がるというアクロバティックな方法だったんです!
ヒナに渡すとすぐに次の食べ物探しに出発。受け渡しはほんの数秒という早業です。そうでもしないと食べ盛りの九羽のおなかを満たせません。買いだめできない代わりに、お店から商品が消えて困るなんてことがないんですよ。
今年は暖冬の影響で春の訪れが早いですね。ということは、トンボたちもそわそわし始めているかもしれません。
日本にいる約二百種のトンボの中で、成虫で越冬するのは三種。中でも一番体が細いのが、その名の通りホソミイトトンボです。こんな体でよく寒さに耐えられるものです。
晴れて暖かさを感じる日に歩いていると、ツツーと針のようなものが飛びました。気のせいかと思いつつ目を凝らすと、うっすら空色になりかけたホソミイトトンボです。トンボシーズンがキターと長い冬が終わった喜びをかみしめつつ、カメラを向けてピントを…あれ? あまりに久しぶりのイトトンボ撮影にカンが鈍ってピントがなかなか合わないんですね、これが。
ホソミイトトンボは目の模様がおもしろく、横縞が何本も入っているのが特徴です。でもこれ、目つきがとっても悪く見えるんですけど。そういえば木星ってこんな模様だったっけ? トンボもよく見ると、へぇとかほぉとかおもしろいことがいっぱいです。トンボをもっと楽しみたいあなた、6月6日・7日に豊田市で初開催される全国トンボ・市民サミットへぜひお越しください。
暦の上では春を迎えるものの、まだまだ寒い二月。でもこんな時期に花を咲かせるアセビを見ると、気温は低くても本当に春が来てるんだなあと感じます。
アセビは白いベル型の花がずらずらっと並ぶので、遠くからでも咲いているのがよくわかります。縦に長く連なっているとお下げ髪みたい。リボンでもお付けしましょうか? 横にギュギュっと並んでおしくらまんじゅうしてるのも、これまたかわいい。
どの花を撮ろうか迷いながら見ていると、目に入ったつぼみが何だか顔に見えてきました。ガクがちょうどくちばしみたいになってフクロウに見える! おぉ〜フクロウがみんなこっちを向いて並んでいるじゃないか!そんなかわいい顔で見つめられるとたまらないんですけど。「撮って撮って」という声が聞こえてくるようで、思わずにっこりしちゃいました。どうやら、開花間近のつぼみが一番フクロウっぽく見えるみたいです。いいもん見つけちゃったなあ。この日はとっても得をした気分で帰りました。
本物のフクロウにはなかなか出会えませんが、こっちのフクロウもかわいいので、ぜひ探してみてくださいね。
あら、あんなところにネッシーがぷかぷか浮いてるわ…。
年明け早々なに言ってんだい?と言われましても、そう見えちゃうような鳥がいるんですよ。冬になると池や川、海でも見られるようになるカンムリカイツブリです。夏も日本にいるものの限られた繁殖地にしかいないので、なかなかお目にかかることはありませんが、冬はあちこちに出現するようになります。
大きい池や川にいることが多くて、遠くにぽつんと浮いているところを見たら、そのフォルムからもネッシーか?と思ってしまいそう。さらにカイツブリの仲間だけあって、水中にツプッと潜るのが得意。もうこうなったら完全にネッシーでしょう。
頭の黒いハート型の羽がおしゃれなのですが、あまり近付いてきてくれないのが難点。でも岸辺でじっと待っていると、すぐ近くにポコッと浮上することもあります。向こうからすると、ついうっかり!なのかもしれませんが。だって目が合った途端、一目散に潜っちゃうから…。そこまで嫌わなくてもいいのに。
ちなみに体の色はグレー、つまりねずみ色。という感じで、ねずみ年の幕開けでーす!
カモたちがやってきて、池がにぎわう季節になりました。渡ってきた当初は、オスはまだ独特のきれいな羽になりきっていないものもいますが、このころになると衣替えを終えてメスにアプローチを始めるようになります。
マガモが集まる池で、一羽のメス(写真のまん中)を三羽のオスが取り囲み、ダンスを始めました。ヒュイッと鳴いてお尻をキュッと挙げるのがマガモ流の求愛。首の白い輪を見せるのもポイントのようです。静かだった池が、たちまち婚活会場に変貌を遂げます。他のメスがいるにもかかわらずなぜこのメスだけに求愛するのかわかりませんが、モテモテってうらやましいなあ。
しかし、このメスはモテ期到来をものともせず、涼しい顔でオスの前を通り過ぎていきました。「選ぶ権利はメスにあるのだ!」って言ってみたいわ、私も…。言い寄るオスには媚びちゃいけないのね。うんうん、勉強になります。
一方フラれたオスもあっさりしたもので、全く未練がましくないご様子。当たって砕けてもいちいちへこんでないで、ダメなら次!と前を向いて進んでいかなきゃ。カモに学ぶことって、いろいろあるんだなあ。
白黒ツートンカラーで尾が長く、テクテク歩いている鳥といえばセグロセキレイやハクセキレイ。特に水辺でよく見かける鳥たちです。歩き回っては立ち止まり、尾を上下にフリフリするしぐさがかわいい!
池のほとりでセグロセキレイを見ていたら、突如飛んで何かを追いかけ始めました。相手もセキレイのようですが、あまりに速いため何が何だかわからない状態。スターウォーズの空中戦か?というような激しい追いかけっこの末、共に地上に降り立ちました。ここでようやく追いかけられていたのがハクセキレイと判明。いったい何が気に食わなくて追いかけていたんだか?
これで一件落着…かと思いきや、再びセグロセキレイが急発進!そして以下同文。この日はぽかぽか陽気だったのでしばらく眺めていましたが、ようやくセグロセキレイが追いかけるのをやめ、大声で高らかに勝利宣言をしているところがこの写真です。それだけ毎回ハクセキレイが諦めずに戻ってきたということですから、勝利といえるのかビミョーですが、本人が納得してるんだから良いのかな。
白黒ツートンの生きものって、このコーナーにもってこいですねぇ。
秋も深まってくると、咲いている花は数えるほどになってきます。それでも咲くのは、他の花が少ない時期を狙って咲くことで花粉を運ぶ虫の人気を独り占めしよう!という作戦なんでしょう。
特にキクの仲間には秋狙いのものがたくさんあります。キクと言っても、一般的なキクの形ばかりではありません。オケラも変わった形をしているキクの一つ。豆乳の搾りかすで雪花菜と書くのは…オカラです。
森の色が緑から茶色に変わり始めるころになると、地味なオケラも少しは見つけやすくなります。いつもオケラが咲く道を歩いていくと、細長い茎にいくつもの花をつけて精一杯アピールしているオケラに無事再会できました。とりあえず生存確認できて一安心。
オケラのおもしろいのは植物なのに骨があるところです。骨って…と思ったアナタ、ほら、花の周りを魚の骨みたいなトゲトゲが覆っているでしょ。冬はこのままドライフラワーに変身しちゃいます。私はこの「オケラの骨」を触るのが毎年の楽しみなんです。皆さんも見つけたらぜひ骨を触っていただきたい! 痛いかどうかはお試しあれ。どれだけ触っても小骨が刺さることはありませんのでご安心を。
いきなりですが、ゆで卵の殻は上手にむけますか? ゆでる前に卵のお尻にヒビを入れておくと良いとか、お酢を入れたお湯でゆでると良いとか、いろいろ聞きます。これって世界共通の悩みでしょうか。その分、ツルッときれいにむけると快感!
そんなゆで卵がなぜ森に立ってる? とびっくりしたのが、このシロタマゴテングタケ。色といい、ツヤといい、質感といい、ゆで卵以外の何ものでもありません。皮がパカッと二つに割れて中から顔をのぞかせている「ゆで卵」部分がキノコの本体です。でも、これはまだ赤ちゃん状態。翌日には、卵からおかっぱ頭のような形に変身した傘の下にニョーンと柄が伸び、さらに翌日には傘が全開になって、キノコらしい形へと変貌と遂げたのでありました。
キノコの傘は胞子という次世代を作る大切な部分で、傘が開くと胞子がフワ〜ッと飛んでいきます。周りにはいくつものシロタマゴテングタケが生えていたので、かなり胞子を飛ばしてくれたはず。今年もツルッツルのゆで卵に会えるかな。
おいしそうに見えますが猛毒らしいので、決して食べないでくださいね。あの世にツルッと足を滑らしちゃいますよ。
夏を少しでも涼しく過ごすのに川はもってこいの場所。水に足を入れた瞬間「ひょぉぉ〜っ」と叫んじゃいます。この冷たさを持ち帰りた〜い!
ひんやり感覚を楽しみながら川の中を歩いていくと、水辺の岩の上に茶色い翅のトンボがとまっています。これはミヤマカワトンボ。オスの体はメタリックグリーンに輝いてとっても美しい!
岩にとまって涼みながらも、しっかりとメスを迎えるべくお仕事中。他のオスが飛んで来ると追い出し、また元の場所に戻ってきて縄張りを見張ります。時々翅をふわーっと開きパタッと閉じるという不思議な行動をするんですが、これがまたきれいなんだな〜。
お昼ごろになるといよいよメスが登場。自分の縄張りにメスが来ると、オスはメスの目の前で軽快にホバリングして気を惹こうとします。涼しい顔をして品定めするメスに猛アピールするオス。私も頑張れ〜と応援したものの、メスは気に入らなかったのか移動してしまいました。オスは諦めず「ねーねー待って」と追いかけ、並んでとまった岩には一枚の落ち葉が張り付いていました。(写真左がオス)「濡れ落ち葉」って言葉が人間界にはあるんですけど、ご存知ないわよね…。
葉っぱの上に鳥の糞がベチョッと付いているように見せかけて、実はカトウツケオグモというクモでした。そんな擬態には私の目は騙されないぞ!あっはっは。と勝利宣言はしませんでしたが、この珍グモを見つけた時はなかなかの快感でした。
茶色に白の配色といい、絶妙なテカり具合といい糞そっくり。でも左右対称なところが生き物感を醸し出してるんだな。私はこれで気付いたもんね。すぐ近くに、カトウさんが食べたと思われるハエが残されていました。もしかして糞と思って近寄ったところを襲われたのかしら?
二カ月に渡って同じ木に居座り続けてくれたカトウさん。元気?と声をかけに行くと、ある日は前脚を二本ずつそろえて挙げていたり、またある日は挙げた二本をやる気満々にガバッと開いていたりと、いろんなポーズを見せてくれました。
大きさからメスとわかっていたので(オスは極小)卵を産むんじゃないかと期待しましたが、残念ながら卵は見られないまま姿を消してしまいました。多くのクモは風に身を任せて移動するため、お相手と巡り会えるかどうかも風任せ。今回はオスが来てくれなかったのかしら。その辛い気持ち、わかるわぁ。
周りを木に囲まれ、木陰が多い湿地をせわしなく飛び回る中型のトンボがいたら、それはサラサヤンマかもしれません。
サラサは更紗と書き、インド発祥の染め物のことです。その更紗に使われることがある幾何学模様のように、黄色い点が背中に並んでいるのが名前の由来。規則正しく並んだ模様がステキなんです。でも人間が更紗を作り出すずっと前からこの模様が体についていたはずなのに…名前の付け方が逆だよ!
サラサヤンマの特徴は模様だけではありません。ヤンマといえばギンヤンマのようにとまることなく飛び続けるイメージがありますが、なんとサラサヤンマはよくとまるんです。しかもすぐ目の前に。飛んでいても、高度を下げてきたなと思ったら、草にペタッ。カッコ良くホバリングしてくれてるなと思ったら木にペタッ。いやいや、そのホバってるところを撮りたいんで、飛んでくれますかと何度お願いしたことか。
人懐こい性格で、足元まで来て(アンタは犬か?)驚いたことに足にとまったこともあります。カメラのストラップにとまられた人もいたっけ。こんな出来事も、トンボ好きには光栄の極みなんでございます。
木の葉が大きくなり、新緑の季節もそろそろ終わりだな…と木を見上げた瞬間、目の前の葉にくっついている小さな雫型の物体が視界に飛び込んできました。
形からするとシジミチョウの仲間のさなぎ。羽化間近らしく鮮やかな色が透けて見え、翅の部分は赤っぽい色をしています。この木がコナラであることや、さなぎの大きさや色、そして時期から、正体はアカシジミではと推測したものの、答えは殻の中。これは何が何でも羽化したところを見て答えを知りたい!
とは言うものの、ずっと見張っているわけにもいかず、別事をしながら時々チェック。まだかなと思っているうちに夕方になってしまいました。このまま明日に持ちこしか…。枝を切って持ち帰る方法も頭に浮かんだものの、持ち帰りに失敗して羽化できなかったら後悔するのでやめました。
そして日没タイムアップ!かと思いきや、夜七時ごろにライトで照らしてみてビックリ! 見事に羽化したアカシジミがさなぎの殻につかまっていました。答えがわかってスッキリ〜。
え? そもそも何でそんな時間に見たのかって? 夜遊びで池にカエルなど見に行く途中だったもので…。
あなたはどうだったろう。子どものころ自然や動物や友達と、思いっきり遊んだだろうか?
子どもの頃の自然体験や友だちとの遊び、地域活動等の体験が豊富な人ほど、「経験していないことには何でもチャレンジしてみたい」といった意欲・関心や、「電車やバスに乗ったときお年寄りや身体の不自由な人には席をゆずろうと思う」といった規範意識、「友だちに相談されることがよくある」といった人間関係能力が高い。これは国立青少年教育振興機構が調査(平成22年)した結果である。
「沈黙の春」で有名な海洋学者レイチェル・カーソンは言っている。
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
この春休み、豊田市の農山村を舞台にセカンドスクールが各所で開催された。そのうちの一つ「山っ子くらぶ」には36人の子ども達が山に囲まれた旧・築羽小学校(つくラッセル)にやってきた。30人近くの田舎の母ちゃん、父ちゃん、若者、娘さん、幼児、赤ちゃんに犬までが出迎えた。
賑やかだが自主性尊重の2泊3日。ヤブカンゾウ・ユキノシタ・ヨモギなどを摘んで天ぷらどんぶり。にわとりの「命をいただきます」実習。もちろん食べた。夜空を見上げて星の観察。山に行って森に入り間伐、その木で工作。テントで寝袋にくるまって朝まですごす。寒い! 2日目の夜はお楽しみ会、手作りの劇やクイズやゲームで大盛り上がり。夜の肝試し。山登り、もちつき体験、ワンコと走る、ドッチボールにトランプに、思いっきり遊ぶ。心も体も十分に耕したにちがいない。
啓蟄(けいちつ)は二十四節気の一つで、三月五日ごろから春分の日までにあたり「冬籠りしていた虫たちが動き始めるころ」です。ちょうど私たち人間も、本格的な春を感じられるようになってきます。
そんな啓蟄らしく、ポカポカ陽気に誘われた一匹のアシナガバチが飛んできて、近くにとまりました。のんびり気持ちよさそうに日向ぼっこする姿は、刺されるとキケンということを忘れてしまうくらい穏やかです。しかし、この直後に思わぬ事態が起こったのです。
ハチの背後から音もなく忍び寄る黒い影。同じく越冬から目覚めたヤニサシガメの幼虫です。一歩また一歩と近づいていきますが、ハチに気付かれたら食べられちゃわないかとドキドキ。気付け
ばもうハチは目の前。と、ここで、なんとサシガメが針のような口をハチのお尻にプスリ!いくらサシガメが虫を襲う生き物とはいえ、自分より何倍も大きい、しかもハチを刺しますか!そしてハチも大人しく刺されますか?
本格的に深くは刺さなかったようですが、どちらも寝ぼけていたとしか思えません。「春眠暁を覚えず」と言いますが…私たちも寝ぼけて妙なことをやらかさないようにしなくちゃ。
二月の下旬頃は、春はもう目の前まで来ているけど、あともう一息という季節。まだ生き物の気配もほとんどない静かな林の小道を歩いていると、少し先に何やら大きいものが現れました。大きいというより長い? 堂々と歩いていくのは、まさかのヤマドリ! そしてまさかの横断!
嘴から尾の先まではっきりくっきり目の当たりにして、その尾の長さに感動しました。全身の長さの半分ですよ。即座に「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の…」という歌が頭の中を流れました。百人一首のあの歌です。正しく「長々し」!
しゃなりしゃなりと林の中を歩いていくヤマドリ。聞こえるのは落ち葉を踏む音だけです。おもむろに立ち止まり長い尾をフワッと挙げて見事なホロ打ちをご披露。ドドッドドッと大きな羽音が響き、あまりの風に落ち葉が吹き飛びます。そして直後のドヤ顔。出血大サービスですな。
茂みを抜け倒木を乗り越え、連れられること二十分。峠を越えていく姿を見送り、我に返ると、はてここはどこ?
見覚えのある倒木などを頼りに来た方向へ下りなんとか戻れました。贅沢な時間と引き換えに、危うく遭難なんてことになるところでした。
一月はお正月、成人式と女性の着物姿を目にする機会が増えますね。髪には素敵な飾りが揺れています。「着物って歩きにくそう」などと風情のないことを考える私には無縁の話ですが。
それはさて置き、キクイタダキという小鳥の頭のてっぺんには黄色い飾りがあります。「菊」の花に見立てた黄色い羽を「戴いて」いるところからこの名前が付いたくらいの特徴。お花が頭に咲いてる「おめでたいヤツ」ではありません。
キクイタダキは平地ではあまり見かけない鳥ですが、年によってはあちこちで見られることもあります。ある年の年明けに住宅街の公園で、シジュウカラやエナガの群れに混じる小さな鳥を見つけました。エナガより小さい鳥なんて、もしやキクイタダキ? と思ったら大当たり。ご祝儀をいただいた気分です。枝の間をちょこまか動き回り、時には枝にぶら下がりながら食べ物を探しています。何せ小さい上にすばしっこいので、カメラで追うのは至難の業。ご祝儀にはかなり翻弄されましたが、幸先の良い一年のスタートでした。
ここから一年幸運が続いたのか、はたまたこれで運を使い果たしたのかは、ご想像にお任せいたします。
コナラの樹皮の隙間に小さな緑色のヒスイのような粒がずらりと並んで、あらキレイ! 正体は、クヌギカメムシの卵。なかには大切な命が詰まっています。
樹皮の隙間にはまり込むようにして、一匹のカメムシが卵を産んでいるところに出会いました。今まさにお腹から出てきたばかりの卵はほんのりピンク色をしています。卵は時間が経つと色が変わるようです。これまで卵は見たことがありましたが、産んでいるシーンは初めて見ました。本当にクヌギカメムシの卵だったんだ…なんて、カメムシが聞いたら怒りそう。
卵が孵化するのは三月ごろ。「まだ寒い時に孵化しても食べ物がないじゃん!」と幼虫が困らないような秘策があります。それは卵を守るように全体に塗られているツヤツヤのゼリー。これが何と幼虫の食べ物にもなっているんですって。生まれたばかりの幼虫は、しばらくゼリーを食べることで、寒くてもきょうだいそろってスクスクと成長できます。
残念ながらカメムシはあまり好かれない、むしろ嫌われものと言っても過言ではありません。でも生きる工夫と母の愛情はとても深いものなのです。
冬支度、みなさんはどんなことをしますか。こたつやストーブを出してくる? 車のタイヤを替える? 食べ物に困ることのない今の時代、冬支度で食べ物を蓄えるなんてほとんどしないかも。皮下脂肪が蓄えられることはあっても…。
でも自然界では、そんな悠長なことを言ってられません。カラスの仲間のカケスは、秋になると山から下りてきて標高の低いところでひと冬を過ごします。そして冬支度で食べ物を土の中に埋める習性があることでも有名です。
ある日、秋晴れの上空を数羽のカケスが横切り林の中に入っていきました。しばらくすると、そこから飛んで出てきて再び上空を横切り、元いた林へ。何度も行ったり来たりしていたので、これはシャッターチャンス!と飛んでいる姿を撮ったところ、お口にドングリをくわえていることが判明!のどもドングリでパンパン。そこにはいくつ入っているのかな。どうやら、ドングリを運び冬支度をしている真っ最中だったようです。
カケスが埋めたまま食べなかったドングリは、芽を出し成長して、再びカケスの食べ物を実らせます。この見事な連係プレーは、過去から未来への連係でもあります。
ハイイロセダカモクメ…聞いただけでは何の生き物だか全くわかりません。いや、生き物かどうかすらわからない。モクメって木目のこと?
これでもれっきとしたガの名前なんです。ガといっても幼虫の方が有名。小学校の教科書に出てくるくらいですから。
この幼虫はヨモギの花を食べて育つため、ヨモギの花が咲く秋に現れます。体の色や模様がヨモギの花そっくり。見事としか言いようがない溶け込み様で、花に堂々と乗っていてもまず気付きません。そのため教科書にも擬態している生き物として取り上げられていますが、よくもこんなマイナーな生き物を選んだなと驚きました。
私が見つけた時も「ヨモギの花が咲いてる」と思い、一度は視線を外したものの、一か所だけ何か違う…と感じて思わず二度見したのです。すると、やっぱり大当たり!立派なハイイロセダカモクメの幼虫が花をムシャムシャと食べていました。
どこまでが花でどこまでが体かわからないくらいのこだわりの色使いに、ただただ感心。果たしてこの擬態っぷりでどれだけ鳥に食べられにくくなっているのか知りたいものです。でも私にバレてるようじゃ、まだまだですな。
虫たちのシーズン。チンチンチンと鐘をたたくような軽快な音が聞こえるようになったら、カネタタキがやる気を出し始めた証拠です。
カネタタキの音はよく響きますが、体は一cmほど。よくもまぁこの体でこの音量を出せるなと感心します。オスの背中にはエプロンのように見える短いハネがあり、ここで音を出してメスにラブコールを送ります。
ある時、お茶の木に付いていた実から細長い物がピロンと出ているのが気になって、中をのぞいてみました。するとそこには、カネタタキが入り込んでいました。別の実にはなんとオスとメスの二匹。実の中だとよく響いてモテるとか?メス同士という女子会中の実もありました。いずれにせよ気に入って中に入っているようです。これぞ〝茶の実〟友達?
自宅で大音量のカネタタキの歌が聞こえてきた時がありました。キンキンと頭に響くくらいで、さすがに見過ごすわけにはいきません。近寄っていくと、いつのまに入ったのか部屋の中で絶賛演奏中の一匹を発見。そりゃうるさい訳だ。睡眠の障害になるので丁重にご退室いただきました。愛は叫ぶんじゃなく、ささやくくらいが丁度いいと思いますよ。
ミノムシは誰もが知っているあの虫です。木の葉でできたミノをまとい枝にぶら下がっている、地味だけど有名な虫の正体は…ミノガというガの幼虫です。ミノガにもいろんな種類があって、種類ごとにミノの材料や形が違います。
お茶の木で見つけたミノムシのミノは、小枝ばかりを使ったシンプルなものでした。チャミノガという種類のようです。ただぶら下がっていたのではなく、ミノのてっぺんから頭を出して葉っぱを食べていました。小さな脚も出して葉っぱをつかみムシャムシャ。
細い枝先で枝をかじっているものもいました。枝を脚でしっかりつかみ、枝の周りをぐるっと輪を描くようにかじって、最終的には切り取りました。結構口が強力のようです。この間、ミノは残るほうの枝に糸でくっつけてあるところはさすが。切り取るほうの枝にくっつけちゃうドジは…いないか。
この枝をどうするのかと思ったら、なんと自分のミノにぺたっ。増築用だったのね。ひと段落つくとミノにすっぽり入り込み、一瞬で出口を巾着のようにキュッと閉じました。一体どんな仕掛けがあるの? 小さなミノには幼虫だけでなく技も詰まっているんですね。
夏の熱い昼下がりは、お昼寝して過ごすに限ります。風の通る涼しい日陰で、セミの声をBGMにうとうと…と、お休みしたくなるのは人間だけではありません。なんと、トンボたちもお昼寝好きなんです。特に体の大きなヤンマたちは体力の消耗を少しでも減らすためなのか、正午前後は林の中の木にぶら下がって休憩する習性があります。
朝からかんかん照りだった日のお昼、木陰を歩いていると道のすぐ横の木に青いものがぶら下がっていました。こ、これはヤブヤンマ!しかも普段なかなかお目にかかれないオス!よりによってカメラを持っていなかったので、そーっと後ずさりしてカメラを取りに行き、急いで戻りました。しかし、案の定お昼寝中のヤブヤンマは相変わらずブラーン。爆睡中のため、じわじわ寄って目の前まで来ても動かない…。さすがに指先でそっと触れると飛びましたが、近くに再びとまってブラーン。おかげでコバルトブルーの輝く目を堪能させていただくことができましたが、こんな無防備でいいのかしら?
スペインのシエスタをいち早く取り入れている(?)トンボを見習って、午後はのんびりお昼寝タイムと洒落込みたいですね。
カメムシは好印象とは程遠いイメージを持たれることが多い昆虫。でも、エサキモンキツノカメムシは愛されキャラのカメムシです。長い名前…。
かわいいポイントその一、背中の紋の形がハート型をしている! ポイントその二、お母さんが子育てをする! 卵や孵化したばかりの幼虫をお母さんが外敵からがっちりガードします。ハートを背負っているだけではなく愛情深いと聞いたら誰もが「まぁ、かわいい」と思うこと間違いなし。
一匹でもかわいいエサキさんがカップルになるとハート倍増。ラブリーすぎるカップルにお目にかかりたいと思いながらも、なかなかチャンスがありませんでした。しかしその瞬間は突然やってきたのです。なんと足元の草に長年の夢だったカップルが!もう大興奮して思わず絶叫。
でもヘタに刺激するとカップルが離れてしまうことがあるので、まずは落ち着いて…。そーっとカメラを構えてまず一枚。その後ゆっくりと堪能しました。
探しているときには見つからないけど、探していないと現れるもの。無欲の勝利ってやつです。普段から煩悩を捨てて無欲で生きていると、いいことあるかも? あ、すでに欲が丸出し…。
鳥たちが子育てをする季節です。もうヒナがかえっている鳥もあれば、ようやく日本に渡ってきてこれから子育て開始という鳥もいます。比較的早い時期に巣作りを始めるカラスは、ちょうど今の時期にヒナの巣立ちを迎えます。
ある日、頭上から「アーアー」というカラスのヒナの声が聞こえてきました。春先にハシボソガラスが巣を作っていた場所です。高い木に巣を作っていたので中を見ることはできませんでしたが、どうやら順調に育ったらしいぞ…とワクワクしながら見上げてみました。すると巣から少し離れた枝に、ちんまりと座る一羽のカラスのお子様が!フワフワのお腹、鳴くたびに見える真っ赤な口の中が最高にキュート。名付けて「黒い天使」。
親兄弟が周りに見当たらないのが気になりましたが、本人(鳥?)はリラックスした様子。まだまだ短い翼をはたはた振って甘えるしぐさに、ほと
んど出番のない私の母性本能が見事にくすぐられちゃいました。
カラスは親の愛情がとても深い鳥です。人を襲うのも、我が子を守りたい一心からですからね。とってもかわいくてステキなカラスのことを好きな人が増えてくれるといいなあ。
ツツジの花が咲き木々の芽吹きが輝く季節です。まだ冷たさを感じる朝、あっという間に進んでいく春を惜しみながら森を歩いていると、目の前を何かが走り抜けていきました。走り抜けるというよりは、跳ね抜けるという表現の方がピッタリかもしれない。しかも軽やかにではなく、ダッダッと重そうに…。
跳ねていった先をドキドキしながらのぞいてみると、なんとそこにはノウサギが立っていたのです。前脚をピョコッとあげて立つ姿はピーターラビットそのもの!野生のノウサギを見るのは初めてのことで、大興奮で震える手と心を何とか抑えながらシャッターを押しました。少しの間こちらをじっと見て立っていましたが「はいサービスはここまで」と言わんばかりに、再び重そうに跳ねて森の中へ消えていきました。
これまで糞は何度も見たことがありましたが、ようやく本体に出会えました。四月一日じゃなかったので、ウソではなく本物だったんだよね、きっと。
ノウサギの好物にシュンランの葉があります。シュンランもちょうど花を咲かせる季節なんですが…この辺りのシュンランを丸坊主にしたのはキミだったのか!
お彼岸の頃になると陽射しが春めいてきます。春の暖かさに誘われて落ち葉の残る林を歩いていると、足元からヒラヒラと小さなチョウが飛び立ちました。そしてすぐ近くに着地。やった!この春一番のチョウ!とウキウキしながらそっと近付いて…あれ?どこだ? 静かに探していると、落ち葉にしか見えなかったものがそっとハネを開き、ようやく居場所がわかりました。
このチョウは、頭の先にテングの鼻のような突起があるテングチョウ。成虫で冬を過ごすため、暖かくなるとすぐに飛び始めることができます。ハネを閉じていると、まるで枯葉のような色ですが、開くとオレンジと白の模様が見えるようになります。とは言うものの、じっととまっていたら落ち葉にまぎれてしまいわかりませんが。
閉じていたハネを開くのは、日光浴をして体温を上げるためです。陽射しを全身に受けて温まっている様子は本当に幸せそう。なんだか人間が温泉に浸かって「はぁ気持ちいい」と、ホッと一息ついているみたい。凝り固まった体をゆっくりほぐしてくださいな。
厳しい冬の寒さがあったからこそ、春の暖かさをよりありがたく感じるんですよね。
節分といえば鬼。鬼といえば虎のパンツ。そして冬の虎といえばトラツグミ。名前の通り虎模様をしたツグミの仲間です。普通のツグミのように開けた所に出てくるタイプではないのであまりお目にかかれませんが、ある時ラッキーなことに、向こうから寄ってきてくれたことがありました。
主食のミミズを探すために、立ち止まっては体を小刻みに揺らし、またちょっと歩いては立ちどまって…という行動を繰り返しながら、少しずつこちらへ。こうやって土の中のミミズを驚かそうとしているようです。この様子がなんともコミカルで、見るたびに笑っちゃいます。
そのうち、おもむろに口を土の中に突っ込んだかと思ったら、ミミズを一本引っ張り出しました。しかも極太!お見事!食べごたえがありそうですね。もちろんミミズもタダではのまれません。思いっきりクネクネと抵抗するもんだから、トラツグミも大苦戦。何度もミミズを地面にたたきつけてダメージを与えます。そして最後は一気にツルツルッ、ごっくん。ごちそうさま。胃袋がもぞもぞ動きそうだ。
寒い時はアツアツのラーメンがおいしいですよね。皆さん、太麺はお好きですか?
「百舌鳥」と書くようにバリエーション豊かな声を出すモズ。ちなみに私が大阪で通っていた大学の最寄駅は中百舌鳥という駅でした。
冬場はオスとメスとが個々に縄張りを持ち、侵入しようものなら異性といえど追い出されてしまいます。また、小さいながらも肉食で「小さな猛禽」と呼ばれていて、枝先にカエルやバッタなどを刺す「はやにえ」が有名です。
葉の落ちた木の枝にとまって一羽のモズがじっと地面を見つめていました。頭は動かず尾だけ動かすのもモズの特徴。クルクルクルッとリズミカルに尾を回している時は、何か考え事をしているんでしょうか。パッと飛び立ち草原に降りたかと思ったら、虫をくわえて枝に戻りました。寒くて一見何もいなさそうなのによく見つけるなあと、いつも感心します。真冬に新たな「はやにえ」を作ることだってあるんですから、生き物たちはこっそりと動いているんでしょうね。
ある時、近くに飛んできたモズの頭に枯草が乗っていました。草に頭を突っ込んで付いたのでしょうか。鋭い眼光の上に鎮座する枯草、という笑える組み合わせ。何だそれ?と突っ込んでもらいたかったの?